<ロッテ1-4中日>◇5日◇千葉マリン

 中日中村紀洋内野手(34)が10号3ランで試合を決めた。3回、ロッテ先発唐川のストレートを右翼スタンドにたたき込んだ。タイムリーが出ずに苦しみ、これが13試合ぶりの打点、14試合ぶりのアーチだったが、本塁打を放った試合は昨年9月7日ヤクルト戦以来13戦13勝。「不敗神話」を継続し、プロ野球22人目の350本塁打にも王手をかけた。投げては先発小笠原が7回途中1失点で自己最多タイの6勝目をマーク。チームの連敗は2で止まった。

 打てば負けない。中村紀が、チームと自身を救う1発を放った。1点リードの3回2死一、二塁で唐川の141キロの外角高め直球をたたいた。風速3メートルの追い風に乗って、右翼席に飛び込む10号3ラン。「バットにこすったからどうかなと思ったけど。昔からここ(千葉マリン)でやっているからね。風に乗ってくれと願っていた」。

 中村紀の本塁打は、5月16日横浜戦以来14試合、56打席ぶり。5月31日西武戦で左太もも裏を痛めた影響もあって、交流戦はこの日の試合前まで、37打数7安打0打点、打率1割8分9厘に低迷していた。チームも4勝7敗と苦しんでいた。

 そんな苦境の中、中村紀の「不敗神話」は生きていた。昨年9月7日ヤクルト戦からホームランを打った試合は13連勝。「嫌な流れを変えたかったし、いい本塁打になったと思う。チームが勝ってよかった」。チームの連敗も「2」で止め笑顔を見せた。

 プロ野球22人目の通算350本塁打にも王手をかけた。「今日で349本やろ。(元阪神の)掛布さんとタイやで。ふふふ」とにやついた。中村紀は大阪出身で、子どものころは甲子園に通う阪神ファン。当時のヒーローは通算349本塁打を誇る掛布氏。小学校時代にはあこがれの打者をまねて、左打ちを目指したこともある。「これが全然打てなくてね。結局、右打ちになったんだ」と振り返る。プロ16年目で「掛布超え」にも王手をかけ、ほおがゆるんだ。

 2回に左翼線への二塁打を放っており、唐川から2本の長打を記録。無敗の快進撃を続けていた18歳ルーキーにプロ初黒星をつけた。試合後は「彼はけがさえなければ、絶対にいい投手になる。素材もいいよ」。かつて日本代表の4番を務めた34歳は貫録を漂わせた。【益田一弘】