日本一奪回を目指す中日が定石より1人少ない5人で先発ローテーションを回す方針であることが16日、わかった。森繁和バッテリーチーフコーチ(54)が「5人で1年を乗り切るという意味じゃないが5人で回す」と話した。狙いは中継ぎ陣を充実させて守護神岩瀬の負担を減らすことと、先発陣を戦いながら鍛え「ポスト川上」として育て上げること。09年は「先発5人制」で投手王国復活を目指す。

 常識破りのオレ流ローテだ。森バッテリーチーフコーチは「5人で1年を乗り切るという意味じゃないが、今年は5人で回す」と話した。現代野球では火曜日から日曜日まで6連戦となるのがふつうで、先発投手6人が中6日の登板間隔で投げる。それを1人減らし5人で1週間を乗り切る。

 狙いの1つは守護神岩瀬の負担を減らすことだ。1軍投手陣は12人前後が登録される見込み。先発枠を「5」とすることで中継ぎ枠を1つ増やし、岩瀬を温存する試合を増やす。岩瀬は前人未到の10年連続50試合登板&4年連続30セーブを記録しているが、後半の勝負どころを考えると酷使は避けたい。

 もう1つの狙いは「ポスト川上」の育成だ。森コーチは「今のチームにエースがいるか?」と話す。今後の中日を背負って立つ投手となると、候補はいるが絶対的存在はいない。数多く投げさせ、シビアな場面を経験させることで、ブレーブス入りした川上並みのエースを作る。馬力のある若手が多く、中5日、中4日の起用に十分耐えられるという読みもあるようだ。

 他球団を惑わす効果もある。週ごとにローテのパターンが変わり、だれが先発するか予想が難しくなるからだ。日程に応じて「第6の先発」がスポットで投げてきたり、疲れのたまった投手が抹消されて2軍から代役が立てられるなど、単純な6人制より選択肢が増える。

 17日からの第3クールでは練習試合が組まれており、ローテ争いは本格化する。1軍北谷組では中田、朝倉、小笠原、吉見、チェンに加え浅尾も好調。清水昭、川井、佐藤亮や2年目ネルソンも候補だ。2軍読谷組でもマイペース調整中の山本昌に加え、佐藤充、山井らがチャンスをうかがっている。中田は「エースの自覚?

 やるべきことをやっていくことだけです」。吉見は「6が5になるのはでかいけど、自分のピッチングをするだけ。オープン戦で結果を出していけばいいこと」と話した。

 落合竜は07年も開幕してしばらく先発を5人で回している。結局レギュラーシーズン2位からクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本一となった。再び攻めのローテで勝負をかける。

 [2009年2月17日12時14分

 紙面から]ソーシャルブックマーク