<横浜5-3ヤクルト>◇12日◇横浜

 大矢横浜が先発小林太志投手(25)を4回2/3で降板させるシビアな采配で今季2勝目を挙げた。開幕6連敗からのスタートも、3カード目で初の勝ち越し。大矢明彦監督(61)の勝ちにこだわる姿勢には、並々ならぬ意思が読み取れた。

 3-1で迎えた5回に小林がつかまった。2死二塁からヤクルトの3番青木に右翼線二塁打を浴び1点差に詰め寄られた。4番デントナを四球で歩かせると、大矢監督は即決した。あと1人で今季1勝目がつく場面だが、打者ガイエルに対して左腕那須野を投入させた。

 大矢監督

 本来先発は5、6回は投げなければいけない。ただそれまで左打者に5安打されていた。小林にはかわいそうだが、先制した展開で主導権を握ったままゲームを進めることを優先した。

 4年目の内藤が2回に先制のプロ初本塁打を放った。3回にも佐伯の適時打などで2点を追加。理想的な試合運びの中で、逆転させるダメージを未然に防ぐ戦略に出た。結局、ヤクルトの走塁ミスでピンチを脱したが、大矢監督の決断は、勝ちにこだわる気概をベンチに浸透させた。

 大矢監督

 今日取らなければ、また(6連敗した)最初の2カードと同じ状態に陥る。そうなれば(再度)上がっていくのが至難の業。どうしても3カード目は勝ち越したかった。

 終盤も石橋をたたく継投でヤクルト打線を封じ込めた。山口、石井が3イニングを無安打リレー。「選手もコーチも何としてでも勝とうという気持ちで戦っている。こういう(小差の)しのぎあいで勝てたことは大きい」。展開の見極めを間違えなければ、勝機はおのずと増えてくる。借金5の横浜だが、自信を深めた1勝だった。【山内崇章】

 [2009年4月13日8時11分

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