<オリックス0-7楽天>◇18日◇東京ドーム

 日本が誇る「グラウンドボール・ピッチャー」だ。楽天岩隈久志投手(28)が18日、オリックス戦(東京ドーム)で8回3安打無失点と好投、今季2勝目を挙げた。24アウト中、内野ゴロは19、三振5と飛球アウトは0。「低めを意識して投げた」と、本塁打の出やすい東京ドームで外野フライすら打たせない、ゴロ量産の投球で通算80勝目をマーク。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の疲労も心配されたエースが、連敗で沈みかけたチームの首位タイを守った。

 全力投球はいらなかった。直球はほとんどが、140キロ台前半。岩隈は自分が本調子ではないことに気づくと、ひたすら打者のひざ下へ投げ続けた。「打たせて取っていくうちにリズムがよくなりました」。力をセーブし、ゴロを打たせ続ける。終わってみれば19個の内野ゴロ。2回無死一塁から8回終了まで、1人の走者も出さなければ、外野フライすらなし。昨年、投手部門のタイトルを独占した確固たる技術が、笑顔と勝利を運んできた。

 判断は早かった。1回、先頭大村、3番カブレラに直球をあっさり打ち返された。「バランスがよくなかった。逆球もあった」と振り返った。球威で押せなければ、ひたすら低めを突くのみ。シュート、スライダー、フォークを“ゴロゾーン”に投げ分けた。バットの芯を微妙に外すと、ことごとく勢いのない打球が転がった。リードした藤井も「本当に力を入れた球なんて数えるほど」と明かした。WBCで海外の強打者を封じ続けた投球術は、苦しい時こそ真価を発揮した。

 プロで長く生きるために、剛速球に別れを告げた。近鉄時代は150キロ超の速球で押しまくった。さらに磨きをかけようと、トレーニングもキレを追い続けた。だが06年から2段モーションが厳格化され、フォームを崩す。追い打ちをかけるように、疲労の蓄積がダメージとなって肩、ひじにのしかかった。当時、コンディショニング担当の南谷コーチ(現西武コーチ)から「クマ、もうキレはいいんじゃないか」と助言された。07年オフの右ひじ手術をきっかけに、トレーニングも投球スタイルもモデルチェンジ。打者をねじ伏せるスタイルから、打ち取るスタイルへの変心を遂げた。肩、ひじに負担をかけない投球を求めた先に、至高の投球術が待っていた。

 万全ではない中でも危なげない投球で、チームの連敗を2で止めた。野村監督も「内野ゴロが取れているうちは調子がいい。本格派の技巧派?

 技巧派の本格派?

 どっちや。名前で相手を威圧している感じだね」とたたえた。その上で「(チームの)中心なんだから、模範になってほしいね」と、8回で降板したことに期待を込めて小言も忘れなかった。岩隈は「まだ先は長いですから。1戦1戦大事に戦いたい」。今季はまだ登板3試合目。圧巻の完封劇は、チームが正念場を迎える、もう少し先でも遅くはない。【小松正明】

 [2009年4月19日8時55分

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