<中日5-6巨人>◇19日◇ナゴヤドーム

 オレ竜の守護神がまた1つ、球団史に名を刻んだ。中日岩瀬仁紀投手(34)が19日、巨人戦に登板し、OBの鈴木孝政氏(野球評論家)に並ぶ、球団史上最多タイとなるプロ通算586試合登板の記録を打ち立てた。岩瀬は2試合続けてリードされての登板と執念の継投策も実らず、チームは今季初の4連敗。本拠地ナゴヤドームでは7年ぶりに巨人に3タテを食らったものの、頼れる守護神の快記録が次への希望の光となった。

 コツコツと積み重ねてきた輝かしい節目のマウンドに、残念ながら笑顔はなかった。シーズンでは異例ともいえる、2日続けてビハインドでの登板。落合監督は勝利の方程式を崩してまで守護神岩瀬を9回のマウンドに送り込んだが、執念は実らなかった。

 それでも記録の偉大さはかわらない。スタルヒン、鈴木孝政に並び、歴代37位となるプロ通算586試合登板は、堂々の球団タイ記録。試合は惜しくも敗戦となったが、岩瀬はこの日も与えられた仕事をきっちりとこなした。前日に続く対戦となった李承■を遊ゴロ、続く阿部はカウント2-2から4球ファウルで粘られながらも、最後は外角高めの直球で空振り三振。坂本も遊ゴロと3者凡退で打ち取り、普段通りの涼しい表情でベンチに引き上げた。

 岩瀬

 試合後に(チーム関係者に)言われて知りました。なかなかできないこと。これからもどんどん伸ばしていけるように、ケガをしないで頑張りたい。

 偉大なOBが17年かけて打ち立てた記録に、わずか11年で並んだ。「鈴木さんの現役時代は微かに覚えているくらい。現役だったのは子供のころだもんね」。実に20年ぶりの記録。中日に在籍した投手では、ロッテ、巨人でもプレーした前田幸長の595試合が最多だが、ドラゴンズのユニホームに袖を通しての最多記録にこの日、名を連ねた。

 決して体格に恵まれていたわけではない。それでも大きなケガをすることなく、ルーキーイヤーから10年続けて50試合以上マウンドに上がることができたのは、自分の体を誰よりも理解していたからだ。

 岩瀬

 長いシーズンの中で、体がベストの状態にあることは少ない。その時々の状態で、どこまでやっていいのかを常に自分で判断してきた。時には交わすピッチングでしのいだこともあったけど、無理して攻め続けていたら、きっとどこかでケガをしていて、今の自分はいない。

 試合前のブルペンでは、三輪ブルペン捕手にその日の球の状態を聞くのが長年の日課。この日も約20球を投げて調子を確かめ、マウンドに向かった。どんな時も冷静に自分を見つめ続けてきたからこそ、長期離脱と無縁のプロ野球生活を送り続けることができた。

 そしていよいよ次の登板で球団新記録。「次は勝ち試合で投げたいね」。オフに新たに球団と4年契約を結んだばかりの岩瀬にとって、どんな記録もただの通過点に過ぎない。それよりも、守護神として9回を締めくくって勝つことにこだわりを見せる。クローザーに負け試合は似合わない。新記録樹立は、チームの白星とともに飾る。【福岡吉央】※■は火へんに華

 [2009年4月20日11時29分

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