<中日7-6ロッテ>◇5日◇ナゴヤドーム

 中日岩瀬仁紀投手(35)がリーグトップの15セーブ目、通算249セーブ目を挙げ、抑えでは史上3人目となるプロ野球名球会入りに王手をかけた。3点リードの9回に登板。金泰均に2ランを許し、1点差に迫られるヒヤヒヤの展開ながら、リードを守り切った。6日から本拠地西武戦。「できれば名古屋で決めたい」と、大台到達を予告した。

 冷静だった。3点リードの9回。2死一塁から金泰均に左越え2ランを打たれた。3月28日の広島戦以来、19試合ぶりの失点。それでも岩瀬は表情一つ変えず、続く代打青野を空振り三振に仕留めた。

 「本塁打を打たれれば1点差になるという頭はあったが、まさか本当に打たれるとは。点差が違えば攻め方も違うが、もったいないことをした。スキではないけど、攻め方を間違えたら野球は怖い。もう1回原点に戻れました」。偉大な記録に王手をかけても、反省を忘れることはなかった。

 球界屈指のクローザーとなっても、原点を忘れないのが岩瀬の強みだ。大事にしている言葉がある。「打たれても命までは取られない。自分のボールを信じて強気に投げろ」。NTT東海時代に兼任投手コーチを務め、決め球・スライダーの握りを教えてくれた森昌彦氏(現豊川高監督)の言葉だ。

 中継ぎだったプロ1年目。打たれるたびに森氏に電話をかけた。「あのアドバイスがあったから、1年目を乗り切ることができた。当時は抑えないと下に落とされると思って毎日必死だったから。僕の礎ですね」。何度も救援に失敗しながら、そのたびに自分を見つめ直せた。もちろん、もう試合で打たれても、受話器を握ることはない。それでも、あの言葉を忘れたことはない。

 セーブは249個目を数えた。「今日抑えたら、ものすごい意識するけど、失点したからそれどころじゃない。できることなら地元で決めたいけど、なるようにしかならないから」。王手をかけてもふだん通り。6日からの西武戦でチャンスが巡ってくれば、冷静に一発で決める。【福岡吉央】

 [2010年6月6日9時18分

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