<阪神1-3ヤクルト>◇16日◇神宮
世界のマートンが、電光石火の先制タイムリーだ。阪神マット・マートン外野手(28)がヤクルト戦の1回、先発石川からしぶとく中前打。チーム唯一の得点をたたき出した。打線が5安打と湿る中、チャンスを逃さない勝負強さを見せつけた。試合前には、日本で成功する元メジャーリーガーとしてAP通信の取材を受けるなど、注目度はうなぎ上り。打線のキーマンとして、ここぞの場面で安打を重ねていく。
東京音頭の大合唱を背に、マートンはいつになく厳しい顔をしていた。同点の6回。相川の右翼線への飛球にスライディングキャッチを試みたが、あと1歩届かなかった。2者生還の決勝打。「1歩追いつかなかった。何とか取りたかったんだけど…」。少し打球判断が遅れたように見えた。だがこれが右翼のスタメン5試合目で、初の神宮球場。責められない感もあるが、ひとり敗戦の責任を背負っていた。
だが阪神唯一の得点のたたき出したのも、この男だった。初回1死二塁。石川の勝負球シンカーを捕らえ、3戦連続安打となる中前タイムリー。「1、2番が機能した初回のチャンスはすごく大事。3番として機能すべき場面だから」。しっかり中軸の仕事を果たし先制点を運んだ。首位打者の座は再び明け渡したが、打率はリーグ2位の3割5分1厘。虎が首位首位争いできるのも、マートンの大活躍あってこそだ。
その奮闘ぶりは世界に打電されることになった。この日、AP通信のジム・アームストロング記者(50)が神宮球場を訪問。マートンにインタビュー取材を行った。同氏は「かつて日本に来た大物メジャーリーガーのグリーンウェル(元阪神)、ミッチェル(元ダイエー)らは成功しなかった」とし、マートンの野球への取り組みはその対極にあるとした。「彼はアメリカの有名選手ではない。でもまじめな外国人選手は、日本で成功するということをリポートしたいのです」。
1度はメジャーの夢に破れた。だが出場機会を求め、異国でのプレーを決断。対戦相手ごとに克明なメモを取り、居残りや早出など、好成績を残してもなお研究熱心な姿に、同氏も感銘を受けたという。そんな男の奮闘記を、全米だけでなく欧州やアフリカ、南米、アジアなどにも発信する。「活躍ぶりはメジャーのスカウトも見ている。将来もう1回大リーグに行く可能性はあるよ」。全世界に勇気を与えるジャパニーズ・ドリームになりそうだ。
「AP通信の取材はすごく光栄です」。マートンは少しだけはにかんだ。そして2戦目へのリベンジの思いは一層強まった。3連敗阻止へより集中力を研ぎ澄ます。
[2010年7月17日11時41分
紙面から]ソーシャルブックマーク




