<阪神2-0広島>◇19日◇甲子園

 アニキが決めた。阪神の金本知憲外野手(42)が広島戦の5回、V打となる先制の右越え9号2ランを放った。右肩負傷が回復し、スタメン復帰して初の本拠地甲子園での試合で、自ら快気祝いのアーチをかけた。ジェイソン・スタンリッジ投手(31)の2安打完封の力投もあり、チームは3連勝で首位巨人と0・5ゲーム差を守った。20日に巨人が負け、阪神が勝てば5月2日以来の首位に返り咲く。

 聞き慣れたはずのファンの絶叫が懐かしかった。「アニキー」「お帰りー」「待ってたぞー」。黄色一色に染まったスタンドを見渡しながら、金本はゆっくりとお立ち台に上がった。「(甲子園で)本当に久々に左翼を守ってね。(先発復帰した)神宮でもむちゃくちゃ緊張した。緊張してる、引きつっているところを見せたくなくて、必死に顔を作ってました」と照れくさそうに打ち明けた。

 左翼での先発復帰は4試合目になる。だが長嶋茂雄巨人終身名誉監督を抜く、プロ通算445号本塁打を打った4月11日のヤクルト戦以来、99日ぶりに帰ってきた甲子園の左翼はやはり違った。

 5回。完全投球していた広島先発ジオが先頭新井に四球を出し、そのまま負傷降板した。「先頭が出たことで、絶対にこの回、一気につぶそうと思った」。次打者ブラゼルが倒れ、その思いはさらに増した。カウント1-3からの5球目。2番手岸本の147キロ内角直球を強振した。打球は強い浜風を切り裂いて右翼席中段に飛び込んだ。

 6月27日のヤクルト戦(神宮)以来の9号先制2ラン。「今季一番の当たりでした」。一塁ベースを回ると、入った場所を確認しながら思わず白い歯を見せた。「(甲子園で)最後に本塁打打ったのが(4月11日の)ヤクルト戦。ベース1周が照れくさいというか、恥ずかしかった」。

 スタメン落ちし、一打席にかけるようになってスイングに微妙な狂いが生じていた。和田打撃コーチは「代打が染み付いて、力が入りすぎていた」と言う。逆転勝ちの口火を切る二塁打を放った18日のヤクルト戦で復調のきっかけをつかみ、この日の決勝アーチにつなげた。真弓監督も「(本塁打の)後の凡打の内容も良くなっている。心配いらない、というか頼りになる」と口調も滑らかだった。

 右肩は万全ではない。「まだ全快とは言えませんが、迷惑だけ掛けず、1日1回いい仕事をしたい。昼の試合で巨人が勝った。今日は絶対に負けられないと思った」と言った。首位巨人と0・5ゲーム差をキープする大きな仕事を果たした。「運良く、うまくいけば明日、明後日で(巨人を)抜きたいと思います」。前半戦首位ターンを誓ったその瞬間、甲子園はこの夜一番の盛り上がりを見せた。【石田泰隆】

 [2010年7月20日8時53分

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