<巨人6-2阪神>◇3日◇東京ドーム

 ただでは負けへんで-。次につながる猛打賞だ。虎のリードオフマン鳥谷敬内野手(29)が9回、右二塁打を放って、球団タイとなる3試合連続の3安打猛打賞を記録した。首位陥落は悔しいが、頼れる1番がこの調子なら大丈夫。球団新記録がかかる首位攻防第2ラウンドは、勝利を演出するヒットを量産する。

 先制され、要所を締められ、トドメを刺され…。終始巨人の優位で進んだ首位攻防戦。このままでは終われなかった。鳥谷のバットから放たれた弾丸ライナーが、2010年猛虎の底力だった。

 選手会長の意地を見せた。8回裏に3ランを浴び、5点を負う展開。敗色濃厚の9回1死。山口の真ん中146キロ直球をミート。右中間で弾む打球を見るまでもなく、勢いよく二塁を陥れる。この1本で2年目の05年から6年連続となるシーズン100安打を達成。最後は3番マートンの左前適時打で2点目のホームを踏み、首位陥落の一戦で一矢報いた。

 鳥谷

 1点入りましたし、明日に何とかつなげないと。

 勢いがとまらない。初回、三塁内野安打で出塁。3回には左中間二塁打も放つなど、3安打1得点の暴れっぷりだ。7月31日中日戦(甲子園)から3試合連続の猛打賞。08年5月の新井以来、14人目の球団タイ記録を達成した。1日中日戦は2四球、この日は1四球と選球眼も光る。「バッティングは毎日変わるものなんで何とも言えないですけど、しっかりフォアボールも取れているんで。打ってからどこに飛ぶかというのは運もあるけど、ボール球を振らずにしっかり見られている」。冷静な分析も頼もしい。

 足もみせた。1点を追う5回1死一、二塁。二塁走者として野間口のフォームを完全に盗み、3試合連続盗塁となる三盗に成功した。「チャンスがあれば行け、ということだったんで」。一塁走者平野と重盗を決め、好機を二、三塁に拡大。直後は3番マートンの強烈な投直で三塁ベースに戻れなかったが「足もある」と巨人ベンチに印象づけた意義は大きい。これで今季7盗塁目。91試合目で早くも自己最多記録に並んでみせた。走塁にもこだわって迎えた7年目。チーム方針として掲げた意識は確かに数字に表れている。

 試合後、猛打賞の球団記録に並んだ事実を伝え聞くと、表情を変えずにポツリひと言。「興味ないですね」。まだ宿敵とのたたき合いは始まったばかり。今日こそは勝利を呼ぶ猛打賞にしたい。残り2戦に勝つだけだ。

 [2010年8月4日10時55分

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