<日本ハム4-3西武>◇26日◇札幌ドーム

 西武が力尽きた。守護神ブライアン・シコースキー投手(36)が打たれ、日本ハムにサヨナラ負け。2年ぶりのV奪回はならなかった。優勝争いで一度は抜け出したが、マジック4としてからの5連敗が響いた。主力の故障アクシデントも重なって失速した渡辺久信監督(45)は「責任を感じている」と肩を落とした。1試合を残して2位が確定。最後はCS突破へ、打倒ソフトバンクを誓った。

 ソフトバンク戦の結果を見るまでもなく、終戦を迎えた。逆転Vには勝つか、引き分けるしかなかった。糸井のサヨナラ打に、西武ナインの緊張の糸はプツリと切れた。2戦連続2発を放った中村が、ぼう然とベンチに座って動けない。悔し涙を流す選手もいた。糸井への配球を自問自答するように、細川は最後までベンチで下を向いた。信じた奇跡には届かなかった。

 2年前、初優勝に酔いしれた札幌で、渡辺監督は悲しみにくれた。抑えきれない感情を隠さず「何とか最後までソフトバンクにプレッシャーをかけたかった。先に負けて優勝がなくなるのは悔しい」と顔をゆがめた。優勝にもっとも近い位置にいながら、失速した原因を「最後の最後で競ったゲーム、勝てるゲームを落とした。うちが未熟な点だと思うし、おれ自身も責任を感じている」とV逸の責任を背負いこんだ。

 守護神の異変が、発端になった。今月中旬、シコースキーが右ひじに痛みを訴えたのと時を同じくして、チームは5連敗を喫した。すぐに復帰しても登板が制限され、投手陣全体に負担がかかり、マジックが消滅した。まだ本調子とは遠く「リリーフが頑張ってつないでくれたなかで、結果を出せずに残念。1カ月前の好調時に状態を戻して、日本一を目指したい」と話した。

 だが今季33セーブでタイトルを確定し、優勝争いの原動力となった助っ人右腕を誰も責めはしない。ただ大事な試合で、打線も決定力不足。毎回の14安打でわずか3得点の攻撃が、シーズン終盤の勝負弱さを象徴していた。試合後のミーティングで渡辺監督は選手を集めて言った。「悔しいし、切り替えるのは簡単じゃない。ただCSという制度がある。福岡で連敗したままだし、ソフトバンクにやり返そう」。もう1度立て直し、V逸を糧に雪辱を誓った。【柴田猛夫】

 [2010年9月27日8時55分

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