<阪神5-7巨人>◇28日◇甲子園
こんなすごい助っ人がいるなら、まだダイジョウブだ!
阪神マット・マートン外野手(28)が2安打を放ち、今季205安打としてセ・リーグ新記録をつくった。3点を追う1回は反撃の口火を切る右前打。6回も反撃の3点につなげる右前打で、いずれも生還。シーズン通算得点も101とし、史上4人目の「200安打&100得点」を達成した。ネバー・ギブ・アップ!
虎史上最強のヒットメーカーが、奇跡の突破口を開く。
マートンの表情は沈んでいた。冷静に悔しさを押し殺していた。声のトーンも下がる。当然だ。喜べるはずはなかった。
マートン
勝てなかったことが悔しい。9回に同点のチャンスまで持ち込めたようにチームはあきらめずに戦ったんだけど…。勝つために最大限プレーした。今日は巨人(の気持ち)が上回って勝てなかった。
大逆転Vへ、大事な、本当に大事な1戦に負けた。シーズン最終章の今は結果がすべて。しかし、打線は序盤の大量失点にくじけず、最後まで巨人投手陣に食らいついた。その象徴が赤毛の助っ人だった。
いきなり3点ビハインドを背負った初回は右前打。今季204安打目で歴代2位となる07年ラミレス(当時ヤクルト)のセ・リーグ記録に並ぶと、4番新井の右中間適時二塁打でホーム生還。これで今季100得点となり、史上4人目の200安打&100得点を達成した。
そして、5点を追う6回に大記録は生まれた。先頭でカウント1-1、巨人内海の高めスライダーに体ごと食らいついた。たたきつけた打球が渋く一、二塁間を破る。セ・リーグでは最多、歴代単独2位となる205本目の安打だ。ここから打線が一気に爆発。この回3得点を導き、一方的な敗色濃厚ムードを一掃した。
ただ、快挙を成し遂げても負けしてまっては…。「個人的に記録を達成できたのは神様に感謝している。チーム、家族、ファンにもね。でも、この時期は勝つことが一番大事。それができなくて残念だ」と肩を落とした。自ら量販店で購入したスクラップノートに毎日データを書き込む。妥協なき練習、ウエートトレーニング。限りない努力は勝利に貢献するため。記録を作るためではない。以前、「正直、プレーに入ったら記録を考えたことはないよ」と口にした。その言葉にウソはない。
活躍と比例するように、ファンからマートンあての郵便物はシーズン序盤から増えていった。球団に届く手紙、野球カード、色紙には真摯(しんし)にサインを書き続ける。英語で書かれたファンレターは熟読。日本語の手紙はまだ自身で“解読”することはできないが、通訳に「これはなんて書いてあるんだい」と尋ねることも多い。できる限りファンサービスに務めるが、最も虎党を喜ばせる術は知っている。それは逆転V-。マートンは、虎はあきらめない。【佐井陽介】
[2010年9月29日11時18分
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