<阪神3-1巨人>◇29日◇甲子園

 阪神が今季最後の巨人戦に快勝し、ライバルの優勝の可能性を消滅させるともに、優勝マジックを7に減らした。立役者はGキラー能見篤史投手(31)。本調子でない中、気迫あふれる投球で6回1失点。今季41度目の逆転勝ちを呼び込み、6勝目をマーク。巨人戦は2年越しの7連勝とした。今日から、V争いは中日とのマッチレース。ノルマは7戦7勝と条件は過酷だが、一戦必勝でゴールまで走り続ける。

 負けん気は胸に秘めた。能見は驚くほどに冷静だった。2点リードの5回1死一、二塁。一瞬の間を利用し、マウンド上で足を開いてしゃがみ込んだ。無表情のまま1秒、2秒、3秒…。「いろいろありますよ」とはぐらかしたが、5番阿部への配球に頭を張り巡らせたのか。カウント1-1から勝負の1球は外角低め144キロ直球。注文通り二ゴロ併殺に仕留め、クールにベンチへ戻った。

 「勝って良かった~」。思わず本音がこぼれた。1敗すれば自力Vが消滅する一戦。久保と順番を入れ替わり、中5日のマウンド。勝利だけを欲した。「プレッシャー?

 そんなん気にしていない。慌てないように行った。状態は良くなかったけど」。思うように制球が定まらず、3回に4番ラミレスの左前適時打で先制点を許したが、耐えた。逆転直後の4回無死一、三塁からは2者連続空振り三振、最後は1番坂本を二飛に仕留めた。6回を6安打3四死球。4イニングで得点圏に走者を置きながら1失点。いや、内容は関係ない。勝ちがすべてだ。

 今季開幕前の3月、理想の投手像についてこう話した。「やっぱりダルビッシュですね。直球、変化球、コントロール、すべてが良い」。6年前の入団時は同じ左腕でもある中日岩瀬にあこがれていたが、30歳を超えた今は球界屈指の本格派を名前にあげる。ただ、もうあこがれは抱かない。

 「でも、だからと言ってなりたい訳じゃない。なりたいからと言って、なれないし。まだ自分のスタイルを確立できていないけど、レベルは違うとしても僕だってプロですか」

 プライドがある。今は目指すべき方向を模索している段階。まだレベルアップできると信じている。ポーカーフェースの裏に隠された負けん気、向上心が“勝てる男”の源だ。

 逆転Vへ望みをつなぐ、価値ある6勝目。昨年7月以降、巨人戦は9戦無敗の7連勝だ。阪神投手の巨人戦連勝記録、79年小林繁の8連勝に王手をかけ、宿敵の4連覇の可能性を消し去った。優勝マジックを7に減らし、残り7戦全勝でセ界制覇だ。「野手にいっぱい助けてもらった。久保田にも球児にも、いつも助けられている。今日は僕じゃないでしょ」。謙虚な能見だが、今季先発9試合でチームは全勝。右足甲骨折を乗り越えてのシーズン最終章。その存在感はあまりに大きい。【佐井陽介】

 [2010年9月30日11時20分

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