<日本シリーズ:中日12-1ロッテ>◇第2戦◇10月31日◇ナゴヤドーム

 日本シリーズ史上初の速攻だ。中日がロッテに雪辱し、1勝1敗のタイとした。1回に4点を先制するなど、3回までに10点を奪う猛攻で粉砕。「シリーズ男」の4番和田一浩外野手(38)が存在感を見せつけた。1、2回に連続適時打を放つなど3安打と、14安打12得点の打線をけん引した。第3戦は2日、千葉マリンで行われる。

 電光石火の攻撃だった。1回。先頭荒木雅博内野手(33)の初球攻撃から、1死一、三塁とチャンスがふくらむ。ビル・マーフィー投手(29)の低めに落ちるチェンジアップを鋭いスイングで中前にはじき返す先制打。さらに大島洋平外野手(24)の2点適時二塁打で4点先制劇を演出した。2回にも無死満塁から右中間への2点適時二塁打を放ち、ロッテの戦意を失わせた。「昨日負けて、万が一、今日負けると、いろんなこと考えちゃうんで、そういう意味でも、絶対に先制点が欲しいなと思っていました。ドームで先制点を挙げれば守り抜ける野球をやってきた。必ず打たなければと思ってました」と、胸を張った。好機で4番が打てば試合の主導権を握れるという証明だった。1、2回の連続適時打で3打点。日本シリーズ初という3回まで10得点という猛攻を演出した。

 中日のユニホームを着て初の大舞台になる。西武時代に4度経験。04年は7試合で4本塁打を放ち、シリーズ制覇に貢献した。小さいころからあこがれていたユニホームを着て、頂上を争う気分は特別だ。FA権を行使し、故郷岐阜に近い中日を選んだ。それだけに「自分で選んで来たチームですから」と、日本一への強い思いがある。

 4番の爆発を演出したのは、1番荒木だった。1、2回はいずれも先頭で、3回も安打で出塁し、3イニング連続で出塁して中軸につなげた。「自分が出れば得点につながる可能性は大きい」という、言葉に間違いはなかった。30日は3回に送りバントを失敗し、流れをロッテに渡してしまった。リードオフマンとしての汚名返上を果たし、「まだ先はある。今日は今日で切り替えて、千葉に向けて頑張る」と意気込んだ。くしくも第1戦は「日本シリーズ男」今江と「新ポストシーズン男」ルーキー清田に打ちまくられた。一夜にしてナゴヤドームでの日本シリーズを得意とする和田、そして07年日本ハムとの同シリーズでは第2戦から3試合連続で1回に出塁し、ホームを踏むなど舞台慣れしている荒木。2人の活躍で「倍返し」に成功し、チームの息を吹き返させた。

 頼もしい4番は、2戦で8打数5安打4打点、打率6割2分5厘と早くも「シリーズ男」ぶりを見せつけている。2日からは、敵地の千葉へ乗り込む。「あの声援、あの雰囲気にのまれないように、準備していかないといけない。1つでも多く勝って、ナゴヤに戻ってきたい」と静かに言い切った。

 [2010年11月1日9時25分

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