阪神金本知憲外野手(42)が引退覚悟で20年目のシーズンに臨む。10日、読売テレビの情報番組「ten!」に生出演。回復がおもわしくない右肩について「肩が治らなくて、去年のような感じならやめざるを得ないでしょう」と、引退を意識していることを初めて激白した。全試合スタメンを目標に掲げ、進退をかけたシーズンに乗り出す。

 街角のファンの質問に答えるコーナー。スタジオでにこやかに対応していた金本の表情が一瞬引き締まった。「ダメなら引退は考えるのか」。ストレートな質問に対して、今の心境を正直に口にした。

 「肩が治らなくて、去年のような感じならやめざるを得ないでしょう」

 衝撃発言だったが回答に迷う様子もなく、はっきりとした口調で言い切った。さらに、現時点で引退を意識しているかという質問では「ここ次第です」と右肩をさすり、こう語った。

 「治る見込みがあるか、ないか。成績が前半悪くても後半盛り返せれば、もう1年やってみたいなと思うかもしれませんが」

 屈辱にまみれたシーズンは1度きりでいい。長年、広島と阪神でチームを引っ張り続けた男は今月5日の始動の際、連続フルイニング出場が止まり、打率2割4分1厘に終わった昨年を「どす黒い、濁った水のよう」と表現していた。

 昨年の不振は右肩痛の影響だった。肩さえ元に戻れば、輝きを取り戻す自信はある。しかし、その肩が言うことを聞かない。だから復活も今は約束できない。この日も頭にこびりつく不安を素直に認めた。

 「(肩は)順調ではありません。でも、特別、光が見えないわけでもない。いけるんじゃないかというのもある。(開幕まで)あと2カ月、3カ月でどうなるか、見えないところはありますけどね。1年間通してできるかどうか…」

 今年3月で右肩痛発症から1年。このオフもほぼ無休でリハビリに専念してきたが、まだ光が差すか差さないかという状況。鋼の肉体を支えてきたウエートトレも満足にできない。悲壮感を抱えながら自主トレに励んでいる。「覚悟を持ったシーズンになるか」と問われ、こう答えた。

 「はい、そうなると思います」

 最後に金本はそう言った。もちろん、弱気になってばかりではない。今季の目標には「無理せず、全試合スタメン」と掲げた。無理せず、としたのは絶対に右肩を治すという意思表示。体に不安を抱えたままスタメンをつかめるとは思っていない。「引退」の2文字を封じ込めるためには、わずかな光に向かって1歩ずつでも進むしかない。

 [2011年1月11日11時27分

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