異例の大抜てきだ。中日のスタッフ会議が17日、名古屋市内で行われた。キャンプの1、2軍メンバーが振り分けされ、ドラフト2位の吉川大幾内野手(18=PL学園)の1軍キャンプスタートが濃厚となった。背番号3を継承し、立浪2世の期待がかかる吉川の前に、サクセスロードが開かれた。

 期待のルーキーがスター街道を歩む。高卒1年目の吉川が1軍キャンプスタートとなることが濃厚となった。落合キャンプが始まった04年以来、高卒野手の1軍スタートは初めて。それだけ、背番号3に対する期待が大きいという証拠だった。約2時間のスタッフ会議を終えた首脳陣は、高い評価を口にした。

 辻総合コーチ

 個人的には面白いと思っている。体力もありそうだし、足の運びなんかも良い。沖縄に行ってから動きを見て(1、2軍を)入れ替えても良いんだから。

 スタッフ会議ではこんなやりとりがあったという。

 トレーニングコーチ

 高校生にはない体力があります。

 首脳陣

 じゃあ、1軍で見てみようか。

 1軍スタートの決め手となったのはたぐいまれなフィジカルだ。11日から3日間の日程で行われた新人合同自主トレでは持久走では断トツの快走。その後のダッシュでも別次元の体のきれを見せていた。見守っていた三木トレーニングコーチも「燃費がいいよね。軽四輪という感じ」とうなったほどだ。

 ひょっとしたら…とドラファンに思わせる逸材だ。大先輩の立浪和義氏(41=野球評論家)は高卒1年目の88年沖縄、米国ベロビーチと1軍キャンプに帯同。いきなり華麗な守備を見せ、初紅白戦で3打数2安打、3打点と爆発した。その後はトントン拍子で開幕戦スタメン出場。新人王を勝ち取った。その再現は誰もが期待するところだ。

 高まる周囲の期待をよそに本人は冷静だ。この日、ナゴヤ球場で行われた合同自主トレに参加すると、ランニングやノックでこれまでと同じように高い身体能力を披露した。

 吉川

 他の人がやっていないことをやりたいと思うのが自分の性格。もし、1軍にいたら周りに負けないようにがむしゃらにやってしまうので、ケガだけはしないように頑張りたい。

 泰然自若とした態度は大物感たっぷり。「立浪2世」がキャンプ初日から注目を集めそうだ。【桝井聡】

 [2011年1月18日11時3分

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