<慈善試合:中日0-3巨人>◇2日◇ナゴヤドーム
巨人のドラフト1位沢村拓一投手(23=中大)がプロ“初勝利”をマークした。中日との慈善試合に先発し、5回4安打無失点、7奪三振と力投した。昨季のリーグ覇者を相手に1回から150キロを超える直球で押すなど、昨季9勝15敗と大きく負け越した相手に対し実力を証明した。両チーム全員で肩に喪章を着けて臨んだ。強打者を相手に真っ向勝負、全力プレーで躍動した。
救世主を予感させる、沢村の竜封じ劇場だった。1回の初球。1番荒木への内角の直球は、この日最速の151キロをマークした。いきなりエンジン全開。1万3255人の観衆がどよめいた。2死一塁から迎えた4番和田。ここでもひるむことなく、147キロの内角の直球で完璧に詰まらせて遊ゴロに仕留めた。「調子自体は悪くて、どうなるかと思ったけど、ブルペンで悪くてもゲームを作るのが仕事。そこだけですね、良かったのは」と、自己評価は厳しかったが、チームにとっては価値ある1勝だった。
中日相手に沢村が使える-。これこそがこの日の試合で示したいことだった。先発ローテーション入りが決まっている東野、内海、グライシンガー、ゴンザレスの昨季の中日戦は、4人合計19試合で4勝12敗。傾斜が高いとされるナゴヤドーム独特のマウンドにも、「アジャストしていくことをテーマに投げました。結果的に0に抑えられて良かった。投げにくくも投げやすくもなかった」と、難なく対応した。中日相手に勝ち星が計算できれば、リーグ優勝奪回に近づくことを意味する。2月1日に宮崎・青島神社で絵馬に書いた「奪回と貢献」。文字どおりの快投ぶりだった。
12球団慈善試合の1戦目に先発という大役で、堂々と前に突き進む姿も示した。毎日、スポーツ新聞各紙を読み、他球団の情報など細かくチェックしている沢村にとっても、東日本大震災のニュースは衝撃的だった。登板前には被災地の人々に向け、「1日でも早い復興を願うばかりです」と強く思っていた。
この試合を含めて対外試合では4試合計16イニングで1失点、自責点は0という圧巻の内容だ。原監督は「見ての通りです」と目を細め、川口投手総合コーチからは「(沢村が)もう1人欲しいね」と言わしめるほどの存在感だった。今日3日に23歳の誕生日迎える。プロ人生の新しい船出に自ら花を添えた。被災地の人々に対して、「勇気を与えられるかはわからないけど、あの時勇気をもらえたよと言ってもらえるように頑張りたい」と、思いを込めた。怖がらず、逃げることなく強打者に立ち向かう沢村の姿が、わずかでも届いて欲しい。【斎藤庸裕】



