広島ナインよ、シビれろ!

 野村謙二郎監督(44)が15日、上位争いの重要性を説いた。現在5位ながら首位ヤクルトまで6・5差、3位巨人には2差と好位置につける。経験の少ない若手が多いからこそ、これから上位を争い、シビれる機会を多く味わうことが必要と力説。今日16日からの阪神戦(京セラドーム大阪)でも、存分にシビれる野球を目指す。

 甲子園球場の室内練習場で練習後、汗をぬぐいながら指揮官が切り出した。

 野村監督

 シビれる経験はそういう位置に行かないと味わえない。借金をゼロにするのが目標だし、そうすればシビれる状況が経験できる。ここで1本打てば、とか、この打者を抑えればという場面。そこでズルズル行くようじゃダメ。ピンチで“あんな場面で抑えられた”というのが力になっていくんです。そういう試合を1つでも多く経験させたい。

 広島が優勝したのは91年が最後。今季は、エース前田健や今季売り出し中の丸ら若手がチームに勢いをもたらしている一方、修羅場のような勝負経験は少ない。97年以来、Bクラスが続いており、クライマックス・シリーズ(CS)にも出たことがないからだ。

 野村監督は常々「このチームは発展途上」と評し、順位や勝ち星の計算より目の前の試合をいかに勝つかに集中させてきた。だが、若いチームの将来を考えれば、できるだけ多くの経験を積ませることが大切。シビれる場面を味わうためには“シビれる位置”にいなくてはならない。それはもちろん、CS進出圏内の3位以上だ。

 野村監督

 今はどこもしんどいときだけど、今年はチャンス。今季は連勝もちょこちょこあるし、上位に行くための戦いですから。

 この日の練習では、指揮官自ら防具をつけ、キャッチャーミットを手に打撃捕手を務めた。打者に捕手目線から助言、指導もした。「ただ汗をかきたかったからですよ」と笑ったが、異例の行動だった。丸が空振りし、球がミットの左手親指を直撃するアクシデントもあり“シビれる”経験もした野村監督。残り55試合。これからが本当にシビれる戦いの連続となる。まずはチームを上位に引き上げるため、今日16日からの2位阪神との3連戦に全力を尽くす。【高垣誠】