<阪神0-2横浜>◇4日◇甲子園

 抜群の集中力と制球力だった。横浜三浦大輔投手(37)が09年5月8日以来、2年4カ月ぶりの完封勝利。1点リードで迎えた5回2死一、二塁。柴田に対し、カットボールを4球続けて追い込むと、最後は外角低めいっぱいの直球で見逃し三振。「カットを続けてストレートが効いた」と、会心の145キロにグラブを1つたたいた。

 雨で試合開始が遅れ、4回裏には降雨で43分間の中断。それでもベテランの集中力が途切れることはなかった。「あそこは大事だったから慎重に入った」と再開後の4番関本からの3人を、わずか7球で料理。1本出れば流れが変わりかねない場面を、きっちり3者凡退に抑えてみせた。

 自身も「雨男」と呼ぶほど、雨での登板は多い。そんな中で、「行き着くところは自分の投球をすること」と言う。「雨だと早打ちしてくるとか、早めに勝負をかけるとか、そういうのを考えてきたら1周したよ」。状況の変化に合わせるのは自分の投球ができてこそ。雨でも晴れでも、マウンドでやることは一緒ということが、20年目を迎えてたどり着いた結論だった。

 尾花監督も「9回いかすつもりだった。柱がしっかりすれば、チームを勇気づけられる」という快投で、通算42度目の虎刈り。「1つ勝たないと次も勝てない。マウンドに上がれば負けたくないし、それだけ」と相性は気にしない。1勝の重みを痛いほど知る男が、チームの連敗を6で止めた。【佐竹実】