松本は見えるんです-。巨人の新人合同自主トレ第2クール2日目が13日、川崎市のジャイアンツ球場で行われ、ドラフト1位の松本竜也投手(18=英明)が、ついに大物の片りんを見せた。この日、行われた「ビジョントレーニング(視覚能力測定)」で抜群の潜在能力を証明した。8項目の測定のうち5項目で満点をマーク。その数値は投手陣では歴代最高で、野手を含めても長野久義外野手(27)に1点差と迫る高得点をたたき出した。

 身長193センチの松本が見下ろす景色は“絶景”だった。「目には自信がありました。ピッチャーは視力が大事ですから。新人の中で初めて1位をとれたのでうれしかったです」。高いから遠くまでよく見えるだけではなく、その「目」には驚異的な視覚能力が備わっていた。

 午前のノックアウト方式のペース走は12人中、5位タイにとどまったが、午後のビジョントレーニング測定で、ついに大物ぶりを発揮。同測定で40点満点中36点の高得点をマークし、伊藤トレーニングコーチを「目に関しては、すごく優秀な能力を持っている」と、うならせた。過去4年間、新人を対象に実施されてきた測定での、その数値は昨季首位打者を獲得した長野(37点)に続く歴代2位。8種目の測定のうち5種目が満点で、新人王の沢村、最多盗塁の藤村を上回り、今季の新人では文句なしのトップに立った。

 ここまでの新人合同自主トレでは腹筋測定(30秒間の回数)は下位に沈み、3000メートル走でも6位と振るわなかったが、ようやくドラ1の名に恥じない「初・キング」の称号を勝ち取った。野球選手における視覚能力は周辺視野がランナーへのけん制、動体視力は打球処理に直結するなど、重要な能力の1つとなる。松本は「スクイズはだいたい打者を見ていたら分かる。自分で外すことが多かった。フィールディングも高校のときから得意です」と、胸を張った。

 11日のオフは“新宿デビュー”を果たし「香川の高松まつりみたいだった」と話し、自転車は迷わず「ママチャリ」を購入。単なる能力だけでなく松本の「目」には独特の感性も宿っている。「開幕1軍を目指したい」と、話していたドラフト1位ルーキーには、明るい未来が見えているのかもしれない。【為田聡史】