打った瞬間に本塁打と分かる「アーチスト」の放物線。新生・和田阪神の第1号アーチは、12日、練習試合・日本ハム戦(宜野座)にスタメン出場した右の大砲として期待される新井良太内野手(28)だった。

 「和田監督の初陣ですから、とにかく気合を入れて、思い切り声を出していこうと思った。僕らの立ち位置はそこですから」。特別な一戦で打って、守って、そして声で監督に最高のアピールをした。指揮官を「自分らしさをいかんなく発揮してくれた」と喜ばせる存在感だった。

 5番三塁で先発。3回の先頭、2ボール1ストライクから中村の直球を強振。熱心な虎党が待つ左翼席にぶち込んだ。守っても2回に中田の三遊間への打球を飛び込んで一塁でしとめた。また、自慢の大声でベンチを活気づけた。

 昨秋から片岡打撃コーチの指導で打撃矯正に取り組む。まずグリップを前方に置き、一気にトップまで引き上げる。力みをなくすことと、自慢のパワーを最大限生かすためにトップの位置を深くする試みだ。「今日は極端に前にしてみた」と成果は出た。

 中日から移籍1年目の昨年はサヨナラ打も放ったが、27打席で打率1割9分2厘、本塁打なし。「元気や攻める姿勢を忘れずにやっていく」。今キャンプは外野の守備練習にも入り、チャンスをうかがう。スキあらばどこでも出る-。チームの記念すべき1発は本人にも大きな意味があった。【柏原誠】