<巨人7-4広島>◇10日◇京セラドーム大阪
走塁では肘をスパイクされ、打席ではぶつけられ…。巨人高橋由伸外野手(37)が、ユニホームを泥だらけにしながら激走した。4回の走塁中に相手野手と交錯しそうになりヒヤリ。6回の打席では右肩付近に死球を受け、その後は暴投の間に一気三塁をおとしいれる好走塁で、結果的に勝ち越しホームを踏んだ。チームは今季3度目の5連勝で2位に3ゲーム差と、独走態勢を固めつつある。
決死の形相で、高橋由が駆けた。同点の6回1死。エドガーの4球目が暴投となってバックネット付近を転がった。「捕手が見失っている感じがあった」。一塁走者の高橋由は迷わず二塁を蹴り、三塁に滑り込んだ。しばらく立てないほどの激走で三進した。次球、エドガーの中前打で決勝のホームを踏んだ。勝呂内野守備走塁コーチは「状況が見えているから三塁まで行けた。あの走塁は大きかったですね」と評価した。
4回には、自信の表情でボールを見切った。1死満塁でストライクはすべてスイングし、3球ファウル。フルカウントから外角低めに140キロが来た。打ちにいってもおかしくない場面。だがバットは動かなかった。同点の押し出し四球にも本人は「チャンスボールは打ちにいっていたけど自信を持って見逃しました」と冷静だったが、岡崎ヘッドコーチは「難しいボールをよく選んだ。いい四球だった」。自信を持って見逃す姿で、相手投手に重圧もかけた。
冷静に滑り込んだ。4回の四球後、続くエドガーが三ゴロ。併殺を阻止しようとやや三塁寄りの二塁手菊池の足もとに滑り込もうとした時、菊池が落球。瞬時にベースへと方向転換。体勢を崩しながらも、柔道の受け身のように二塁にタッチした。その際、菊池のスパイクが右肘にささったが痛みに耐えて立ち上がった。原監督は「チームプレーの中でベストのプレーをした」と、フォア・ザ・チームを体現する由伸を称賛した。
巨人一筋の自らの全力プレーが、チームにもたらす力を知っている。生え抜きで最年長の37歳。「生え抜きって意識はなくはないけど、自分のことで精いっぱいだよ」。入団15年目。チームの顔として引っ張ってきた自負を大げさに披歴はしない。「自分の結果が良ければチームのためにもなるし、それが自分のためにもなる」と静かに言うだけだ。
だからこそ、スマートな男でもがむしゃらになる。試合中、ユニホームは、膝、背中、肩、お尻と、どんどん土で汚れていった。泥臭く勝利を追求する。その変わらぬ姿に原監督は「彼も一生懸命集中して戦えていますから。良かったと思います」と賛辞を惜しまなかった。だが、由伸は「良いときは、そんなもんでしょ」と笑った。由伸にとっては当然のプレーを積み重ねた先に、5連勝があった。【浜本卓也】



