<阪神3-0DeNA>◇9日◇甲子園

 DeNA三浦大輔投手(38)が真っ向勝負で「鉄人」阪神金本知憲外野手(44)を送り出した。異常な盛り上がりを見せる敵地で4度対峙(たいじ)。「打席からビンビン伝わってきた」という金本の気迫に引き上げられるように、全力で立ち向かった。290回目の対決となった7回2死一、三塁。最後の対戦の勝負球に選んだのは直球だった。「出させてもらえたかな」と、この日最速の143キロをアウトローに投げ込み、捕飛に仕留めた。空振り三振も奪い、安打も許した計4回の真剣勝負。「18・44メートルの空間の中で、これだけ対戦できたことは本当に宝物。自分を成長させてもらえた」としみじみと振り返った。

 感謝と同時に闘志も引き継いだ。引退セレモニーで金本から受けた「選手より監督が目立つようではダメ」という“激励”。熱いメッセージに三浦は、「どれだけ悔しいと思えるか。若いのが出てこないんだったら、自分が目立ちます」。来季40歳を迎える男は、力強く言い切った。中畑監督も「金本の言葉通りのところもある。選手が主役になるチームにしたい」と力を込めた。昨季を1勝下回る46勝で終えた今季。金本の言葉を胸に刻みつけ、来季の巻き返しを誓った。【佐竹実】