ソフトバンクドラフト1位の東浜巨投手(22=沖縄尚学)のルーキーイヤーは世界遺産から幕を開ける。29日、大分・玖珠町で野球教室に参加し、元日からトレーニングを行うことを宣言した。沖縄・うるま市の実家から「勝連(かつれん)城跡」まで走り、高台でご来光を仰ぐ。9日の入寮まで無休で調整する予定で、アマNO・1右腕がいよいよプロモードに入る。

 一年の計は元旦にあり。沖縄そばで年越しをし、迎える2013年。東浜は元日から走る。鍛える。新春トレの候補先に選んだのは母校与勝中にほど近い勝連城跡。「世界遺産にもなっているんです。実家から走って行きます。15分くらいでしょうか。高台なので、日の出を見られればいいのですが、いつも寝過ごしてしまって…」。夜更かしの影響で例年は出遅れたが、プロ元年となれば気持ちの入れようも違う。ドラ1位右腕が自宅玄関から元気にスタートする。

 ドラフト指名後の東浜は多忙を極めた。この日は野球教室に参加するため沖縄から大分へ。「地元でもずっとあいさつ回りで、決まった練習時間がとれていない」と悩みを明かした。大みそかだけオフとし、家族水入らずの時間を過ごすつもり。ただ、年明けとともに「年始で取り戻したい」と、不足した練習量をリカバーしにかかる。

 新春トレの後は普天間宮で絵馬に願掛けを予定。「今年は大学日本一とドラフト1位と書いたんですが、欲張るとだめですね。1つだけにします。考えておきます」。新春の“決意表明”でも、プロ1年目へと気持ちを切り替えていく。

 そんな東浜も9日に予定の西戸崎合宿所(福岡市)への入寮については無頓着な一面をのぞかせた。「何も考えていません。特別に持っていくものもないです。僕はどこでも眠れますので」と、“裸一貫”での入寮となる。プロで勝つための体と心を整えることしか頭にない。もっとも必須アイテムとして「野球ノート」を挙げ、大学時代に野球の思いを書き続け、4年間で20冊を超えた自らのバイブルだけは持参する。着々とプロ入りの準備を進める大物新人。年明けとともに東浜フィーバーの始まりだ。【押谷謙爾】

 ◆勝連城(かつれんじょう)跡

 琉球王国に最後まで抵抗した有力な首長、阿麻和利(あまわり)が居城した城と伝えられる。沖縄の城の中でも最も古く、12世紀頃に建てられ、現在の規模になったのは14世紀頃とされる。00年に世界遺産に登録。傾斜を利用して積み上げられた城壁が特徴で、小高い山の上からの眺望は人気がある。