DeNA中畑清監督(59)が、長嶋流育成法を受け継ぎ新人を戦力にする。今日16日の練習試合、日本ハム戦(名護)で、ドラフト4位の赤堀大智外野手(25=セガサミー)を5番左翼でスタメン起用する。結果にはこだわらず、積極的な姿勢を重視。恩師の巨人長嶋茂雄終身名誉監督から長い目で育ててもらったように「数多くチャンスを与えたい」。自らとダブらせて大きな期待を寄せている。

 33年前の自分の姿を思い出しているのだろう。即戦力の期待がかかる身長188センチの大型外野手、赤堀に対する中畑監督の思いは熱かった。「(新人は)時間がかかるのよ。数多くチャンスを与えたい選手だね。自分もバットを止めてピッチャーゴロを打っても、長嶋さんは何度もチャンスをくれたのよ」。入団4年目の1979年に開花したのだから遅咲きだ。その年のオフには厳しい秋季キャンプとして名高い伝説の伊東キャンプで不動の主軸に育ててもらった。

 こぢんまりとまとまってほしくはない。結果ではなく姿勢だ。「結果も大事だけど自分の持ち味を出せるかどうか。思い切りやれば○なんです」。守備面では強肩、脚力をアピールしており、ラミレスの守備固めとしては現時点で十分に応えられるレベルにある。「うちではトップクラスだね。肩強いしコントロールいいし。あとはバッティングだけ」。だからこそ長い目で育てたいのだ。

 赤堀はすでに中畑監督から大きなヒントを受けていた。「最初は結果が欲しくてきれいに打とうとしていたんです。そうしたら監督が“大きな体をしているんだから思いきって振れ!”って。それからバットと体のタイミングがわかってきました」と言う。結果はもちろん欲しいが、強く打つことを意識して臨むつもりだ。性格面でも明るく、中畑監督も「1年目とは思えないね」と言うほど、物おじせず1軍選手の中で堂々と振る舞っている。まずは日本ハム戦が大きなアピールの場となる。【矢後洋一】

 ◆長嶋監督の我慢の中畑起用

 中畑は75年の入団から3年間、1軍出場は12試合にとどまった。79年は開幕当初から1軍で起用されたが、4月は10試合で17打数2安打、打率1割1分8厘と低迷。それでも長嶋監督は代打などで我慢強く中畑を起用し続け、5月は月間打率3割2分3厘をマーク。通算打率を2割5分まで上げた。6月からスタメン三塁手に定着。この年は最終的に打率2割9分4厘、12本塁打、45打点とブレークを果たした。