ロッテが、開幕直前の駆け込みトレードで緊急補強する。ロッテ田中雅彦捕手(31)とヤクルト川本良平捕手(30)の交換トレードが、両球団でまとまったことが24日、分かった。近日中にも発表される見込み。捕手同士という異例の交換に、伊東監督の熱意がにじみ出る。名捕手の同監督が、川本なら正捕手ができると見込んでの獲得とみられる。

 「ポスト里崎」が、近年のロッテの大きな課題だった。4番も打てる大黒柱は昨季も120試合に出場。だが、今年は右肩の張りを訴え、8日の阪神戦以後は離脱している。伊東監督は「里崎はいないものと思ってやる」と、不在を覚悟し、育成に力を注いできた。オープン戦最後のこの日、11年目の金沢は唐川を好リードで支え、3年目の江村は2安打を放った。伊東監督は「江村と金沢は、まだまだだけど、これで里崎が間に合わなくても何とかなる」と話した。「これで」の3文字には、川本の獲得も含まれていた可能性が高い。

 川本のパンチ力も魅力だ。17日はソフトバンク戦でドラフト1位・東浜から、バックスクリーンへ120メートル弾を放った。ロッテの補強はG・G・佐藤と、投手のゴンザレスのみ。昨季5位と低迷しながら、攻撃力の補強ができなかった中で、意外性のヒットマンは存在感を発揮しそうだ。

 捕手出身の伊東監督にとって、捕手は攻守の要。「相手打者に、投手ではなく、捕手と対戦していると思わせればこっちのもの」という伊東野球の神髄を理解し、実践する継承者が不可欠。川本の加入を「伊東ロッテ」完成への第1歩とする。