東大初の“独立リーガー”が誕生する。東京6大学リーグの東大・井坂肇投手(4年=日比谷)が独立リーグのBCリーグに入団することが5日、分かった。今日6日に行われる同リーグのドラフト会議で所属球団が決定する。

 「1浪して東大に入って、行く先が独立リーグなんてあり得ないですよね」。誰もがうらやむ学歴を持ちながら、右腕は夢を選んだ。飛び込むのは月給20万円に満たないBCリーグ。4月から10月までは給料が発生するが、オフの間は拠点である北信越の企業に就業する。厳しい環境だが「アルバイトもしたことはないし、不安は無くはない。でも人と一緒のルートを進むのは嫌いなんで」と話す。

 父も東大野球部出身で「小学生から東大に入ってプロへ行くと決めていた」と話す“エリート一家”。高校卒業後、1年の猛勉強で夢の赤門をこじ開けた。安定した生活を願う母から「あんた就活しないの?」と重圧をかけられた。それでも進路をプロ一本に絞った。勝負の最終年。無情にも神宮での登板はなかった。

 「野球を続けるにはもう他に残っていなかった」と先月9日から行われたBCリーグのトライアウトを受験して、合格した。「最終的にNPBへ行けるように」と意気込む。東大の“脱エリート右腕”が、夢への第1歩を踏み出す。【島根純】

 ◆井坂肇(いさか・はじめ)1990年(平2)4月4日生まれ、東京都出身。中学から野球を始め、目黒西シニアで外野手。日比谷に進学し、投手となる。1年間浪人し、東大に入学。1年秋に自己最速の145キロを記録するも、2年春から右肩痛に苦しめられる。リーグ戦では4年間で8試合に登板し、0勝0敗、防御率8・10。持ち球はスライダー、カーブ、フォーク。家族は父、母、姉、弟。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。