番長がケジメのリーゼント封印!?

 DeNAの三浦大輔投手(39)が11日、横浜市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、来季から投手兼任コーチを務めることが決まった。投手・三浦が最優先となるが、豊富な経験を生かして若手の育成にもあたり、98年以来遠ざかるリーグ優勝、そして日本一を目指す。契約は、現状維持の推定1億8000万円+出来高(金額は推定)でサインした。

 トレードマークのリーゼントではなく、下ろした髪にメガネ姿。三浦は“ハマの番長”からは程遠い、ビジネスマンのようなスタイルで会見に臨んだ。「コーチという肩書をいただいて、もっともっと積極的にチーム全体、特に投手陣にアドバイス出来ればと思う」と引き締めた。

 入団2年目から続けていた“番長スタイル”からのイメチェンは、コーチ兼任を意識した三浦らしい“演出”だった。コートも、毎年この時期に羽織っていたファーのついた黒革のハーフコートではなく、グレーのチェスターコートをチョイス。いでたちの変化に食い付く報道陣に対し、「発表があるし、(格好に)気を使ったよ。賢そうやろ?」と意気込みを表した。

 今季はただ1人先発ローテを守りきり、チームトップの9勝(13敗)をマーク。しかし、負け越した自分の成績はもちろん、22年目のベテランを追い越す若手が現れないことに歯がゆさを感じていた。だからこそ、今まで以上に遠慮なくアドバイスができるコーチ兼任の打診を「チームを強くするために、自分が出来ることの1つ」と前向きに捉えた。高田GMも「肩書がある方が若手も聞きに行きやすいし、三浦も周りに気を使わず助言できる」と説明した。

 三浦は負担増ではなく、自分も勉強できる成長のきっかけと考えている。25日には40歳。「引退するまでにもう1回優勝したい。夢の途中なので、その夢を早く実現したい」と力を込めた。そしてこう続けた。「引退なんてまだまだせえへんよ」。見慣れないメガネの奥の目は、気合にあふれていた。【佐竹実】

 ◆投手の兼任コーチ

 96年オフの大野豊(広島)や06年オフの小宮山悟(ロッテ)のように、球団からコーチ兼任を打診されても断るケースが多い。最近の投手兼任コーチは02年葛西稔(阪神)が最後。ただし、葛西は実質的にコーチ専任で登板しなかった。コーチが登板すれば93年斉藤明夫(横浜。現明雄=ロッテコーチ)以来となる。斉藤は89~93年の5年間、兼任コーチを務め、90年には10勝を挙げた。巨人では堀内恒夫が82、83年、加藤初が89、90年に兼任。また、コーチではないが兼任監督で村山実(阪神)が70年にセ・リーグ記録のシーズン防御率0・98をマークした。

 ◆三浦とリーゼント

 入団1年目の92年シーズン途中から始めた。ドラフト6位で入団し、「めちゃくちゃ速い球があるわけでもないし、とにかく三浦大輔という名前をアピールするため。目立つために」と、あこがれの矢沢永吉をまねた。それ以降、球団イベントやシーズン中の移動など、公式の場では常にリーゼントで通している。セットに時間がかかりそうだが、「10分もかかんないよ」。ちなみに、現在保有している2頭の馬はリーゼントブルースとリーゼントロック。いずれも馬名にリーゼントがついている。