DeNA中畑清監督が、還暦にメークドラマを誓った。球団の仕事始めとなった6日、横浜市内の球団事務所を訪れ、社員130人から60歳の誕生日を祝福された。「初めての還暦…」と、尊敬する長嶋茂雄氏(77=巨人終身名誉監督)の名言をまねて喜びを表した。長嶋氏は還暦を迎えた96年、最大11・5ゲーム差を逆転優勝して「メークドラマ」という流行語を生んだ。中畑監督もBクラスに低迷するチームを初のクライマックスシリーズ(CS)へ導き、キヨシ流のメークドラマを実現させたい。

 中畑監督が感激した。「キヨシ還暦!」と書かれた赤いTシャツを着た職員約130人から60歳の誕生日を祝福されると、「よくやるねえ。ここまでやってくれて、キヨシ感激!

 センキューベリマッチ!!」とサプライズ演出に満面の笑み。ノリノリの中畑監督はバースデーソングに合わせて指揮者をし、プレゼントされた赤いバットでフルスイングを4回披露するなど上機嫌だった。

 中畑監督は還暦について「初めての還暦を迎えまして、感激を味わえました」と喜びを口にした。これは、96年に長嶋氏が還暦を迎えた時に口にした「今年、初めての還暦を迎えまして…」という名(迷?)言にかけたものだった。さらに同監督は「120年後に、また還暦を迎えられる」と言い、取材陣から「60年後では」と指摘されると「120歳の時か」とあわてる場面もあった。

 還暦となり、特別な思いもある。長嶋氏は還暦の年、巨人の監督を務め、シーズン中盤まで首位の広島に11・5ゲーム差をつけられるも、逆転優勝。メークドラマを起こした。尊敬する恩師のミラクルなだけに、中畑監督も気合が入る。

 「今年は不安より大丈夫という気持ちの方が強い。苦しいのは分かってる。でも苦しければ苦しいほど、達成出来たときの感動は大きいと思う。暴れ馬になりたい」

 今年は勝ち上がる自信もある。昨年若手選手の活躍に加え、課題の投手力に阪神からFA移籍の久保と、メジャー帰りの高橋尚成(38=前ロッキーズ傘下3A)が加入した。監督就任1年目は最下位。2年目も5位と成績を残すことができなかったが、今季は手応えがあると明かした。「今年ぐらい、勝ちを意識したコメントをできるのは初めて」。年男で迎える監督就任3年目。今年のスローガンを「心」とし、目標に突き進む。【細江純平】

 ◆還暦

 60年でえとが一回りし、生まれ年のえとに戻ること。日本では祝いとして赤色の衣服など贈る慣習がある。30歳を半還暦(はんかんれき)、120歳を大還暦(だいかんれき)という。

 ◆長嶋監督の96年

 誕生日の2月20日、巨人の宮崎キャンプで「今年、初めての還暦を迎えまして」とミスター語であいさつ。開幕15試合でロケットダッシュを狙ったが、6勝9敗に終わると「第1次ロケットはフロリダの海に消えました」。不振は続き、7月6日に自力Vが消滅した。しかし同16日に「松井が40本打つようならリーグ優勝できる。そうなれば2年越しのメークドラマが実現するでしょう。それこそミラクルです」と宣言。以後は快進撃を続け、当時史上最大の11・5ゲーム差を逆転して優勝。「メークドラマ」は流行語大賞に選ばれた。