<日本ハム5-1ソフトバンク>◇13日◇札幌ドーム

 日本ハム陽岱鋼外野手(27)が守って打って、パフォーマンスでも魅せた。1回1死一塁、内川の右中間へのライナー性の打球を地面すれすれで好捕するスーパーファインプレーで先制点を阻止。打撃では12号2ランを含む3安打3打点と気を吐いた。背番号「1」の先輩、新庄剛志氏ばりのエンターテイナーぶりも披露。4万1208人の観衆を魅了し、連敗を2で止めた。

 ビッグプレーは試合開始からわずか4分後に飛び出した。1回1死一塁、内川の右中間を破りそうな打球に、陽岱鋼が左腕を思い切り伸ばし、つかんだ。受け身を取りながら体を1回転。一塁走者の今宮は三塁手前まで進んでいた。ゆっくりと中継した二塁手の中島に返球し併殺に仕留めた。「(今季)一番のプレーだと思います」という自画自賛の好守で、ソフトバンクを意気消沈させた。

 アドレナリン全開だった。3日連続の超満員4万1208人の大観衆。「歌手がライブをやっているみたい」と感じていた。いきなりやってきた“センターポジション”の見せどころ。「最初は抜けたと思った」。難しい打球にも果敢にチャージした。外野手出身の栗山監督も「ダイカンの腕が、ろくろ首のように伸びた。びっくりした」。もはや人間業を超えた?

 妖怪にたとえるほど仰天した。

 かつての「背番号1」の輝きとダブった。12年オフにあこがれの番号を背負った。パフォーマンスでファンの心をつかんだ新庄氏や森本(現西武)の流れを受け継ぐ。6回の守備で投手交代時に実践した。外野手が中堅に集まり片膝をつく、チーム伝統のスタイルを敢行。オリジナルも付け加えた。右翼の西川、左翼の大谷が陽の元に集まると突如、正座した。大型ビジョンに映し出されたのを確認して、2人に向かって説教をするようなパフォーマンス。「映ったから指をさしてみただけです。説教は、していないですよ」と、機転を利かせファンを楽しませた。

 打っても先制犠飛に12号2ランなど今季5度目の猛打賞で3打点。左膝裂傷から9日に復帰したばかりで、お立ち台では「ハッピーで~す。そして、ただいま!」と報告した。完治はしたが、不安は残る。初回の好捕も「無理やりダイブしたら、またケガする」という恐怖心の中で懸命の守備だった。リハビリ中は下半身の動きが制限され、ストレスもたまる日々。「ヒマです」と表情は曇りっぱなしだった。

 戦線離脱の鬱憤(うっぷん)を晴らすように、復帰後は全試合で安打を重ねる。頼れる背番号「1」は、「今日は自分が大好きです!」と叫び、ファンのハートもがっちりつかんだ。【木下大輔】