虎の機動力が減退するのか。阪神大和外野手(26)が26日、左腹斜筋の筋挫傷のため出場選手登録を抹消された。前日25日の広島戦で試合前のシートノックを行い、本塁返球の際に同箇所を負傷。試合中に病院で診察を受け、26日の午前中に大阪に戻った。近日中にリハビリを開始するが長期離脱の可能性もあり、和田阪神が想定外のショックに見舞われた。

 一抹の不安が現実になってしまった。悪夢が起きたのは前日25日広島戦の試合前だった。阪神のシートノックで中堅を守る大和へゴロが飛ぶ。チャージして本塁に返球。その直後だ。身をよじらせながら、背中を気にするそぶりを見せていた。そのまま試合中、病院で検査を受け、試合後のマツダスタジアムに姿を見せず。異変は明らかだった。

 一夜明けても状況は好転せず、登録抹消の断を下した。和田監督は練習前に「左腹斜筋の肉離れ。昨日のシートノックのとき。時間がかかりそう」と症状を明かし、表情を曇らせていた。山脇外野守備走塁コーチも「しっかり治さないといけない箇所。長引くかもしれない」と話した。阪神では今季、鶴岡が右脇腹を痛めて5月27日に登録抹消された。1軍復帰したのは7月1日で、戦線に戻るまで1カ月を要している。

 大和も似た症状で、長期離脱が濃厚な状況だ。今季は中堅のレギュラーで86試合に出場し、打率2割3分7厘。守備力に定評があり、外野のディフェンスでは不動の存在だった。当面は中堅も日替わりになる方針だ。野球のひねる動作は、患部へのストレスがかかり、脇腹は治癒に長時間を要する箇所だとされる。回復が遅れれば、復帰が9月以降にずれ込む可能性もある。

 大和の不在は攻撃面にも影響を及ぼす。今年は77試合、2番でつなぎ役をこなしてきた。何より、1番上本とのコンビは得点源として機能していた。俊足の2人が塁上でかき回せば、打線の活性化にもつながっていたが、今後は打順の組み直しを強いられる。この日は2番に今成が入ったが5打数1安打にとどまった。チームは首位巨人を必死に追う立場だ。勝負どころの8月戦線で巧打&堅守のユーティリティー選手を欠くのは、チームにとって大きな痛手だ。和田阪神が窮地に陥った。【酒井俊作】<腹斜筋故障から回復の例>

 ◆阪神桧山

 99年キャンプ中の2月23日、右脇腹を痛めた。「右腹斜筋挫傷」と診断され、緊急帰阪。開幕は2軍で迎え、出場選手登録は約2カ月後の4月29日と出遅れた。

 ◆日本ハム糸井

 12年8月25日の楽天戦試合前シートノック中に痛め「左内腹斜筋の挫傷」と診断。戦列離脱し約2週間後の9月7日に再登録。

 ◆ヤクルト森岡

 今季4月11日DeNA戦6回の打席で痛め途中交代。右内腹斜筋損傷(右脇腹肉離れ)とされ抹消。1軍復帰は、約1カ月後の5月9日。