DeNAユリエスキ・グリエル内野手(30)の残留が決定的になったことが14日、分かった。1年総額5億円(推定)の条件を用意。シーズン中からキューバとのパイプ強化を精力的に進めるなど、残留交渉への継続的な準備が実を結んだ。併せて獲得調査を進めていた、キューバ国内リーグでプレーする弟のユニエルキス・グリエル内野手(22)は複数年契約での加入が濃厚。来季4年目を迎える中畑DeNAの戦力がいよいよ整ってきた。

 中畑監督に一足早いクリスマスプレゼントが届きそうだ。中南米球界にパイプを持つ関係者によると、この日までにキューバ側がグリエルの来季所属先をDeNAに決め、近日中に契約合意に至ることが濃厚とみられるという。

 DeNAの継続的なアプローチが吉報を呼び込んだ。球団は初のキューバ人選手であるグリエル入団後も同国に担当者を派遣。8月には、さらなる戦力発掘のため山下前GM補佐(現2軍監督)と渉外担当者を現地入りさせた。そこでリストアップされたグリエル弟の調査を進めながら、同時にキューバ野球連盟関係者の元を訪れるなど、パイプ強化に努めてきた。交渉が本格化した今月初旬には、萩原チーム統括部長と渉外担当者の2人体制で現地に入り、粘り強いアタックを続けてきた。

 資金面にも熱意が表れた。今季は主催試合の観客動員数が前年比約10%増の156万人を突破。昨年からの収益増分約3億円を補強資金にまわし、グリエル残留へ向け計5億円の大型予算を組んだ。交渉過程では、巨人が獲得に向けた調査に乗り出していることが判明。これには中畑監督も「こういう取り合いで、うちが勝ったことはないんじゃない?」と弱音をこぼしたが、条件面でも1歩も引かずマッチレースに臨んだ。

 キューバ側は、最終的にグリエルと家族の意向もくんだとみられる。グリエルは10月に帰国する際、「来年はフルシーズン、チームを助けていきたい。出来ることなら(DeNAに)戻ってきたい」と残留を希望。また、同じく来日していた父ルルデスさんを含めた家族も、球団のサポート体制に常々感謝の言葉を口にしていた。本人、家族の残留意向も、キューバ側は配慮した模様だ。

 グリエル弟のユニエルキスは、身体能力の高さを含めた将来性にも期待。支配下での複数年契約で、2軍での経験を積ませながら日本野球への適応を図る方針とみられる。球団が今オフの最優先事項に位置付けてきたグリエルの残留交渉。「キューバの至宝」の引き留め成功は、悲願のCS進出へ、明るい兆しとなりそうだ。