立浪氏が電撃コーチ!?

 中日ドラフト2位、PL学園の吉川大幾内野手(18)が21日、高校の大先輩・立浪和義氏(41=野球評論家)と初対面し、いきなり技術指導を受けた。テレビ番組で共演した後、あこがれの「ミスタードラゴンズ」から即席アドバイス。仮契約も結んでいないが、立浪魂をしっかり譲り受けた。

 ミスタードラゴンズの血が騒いだ。番組の収録を終え、スタジオを出た立浪氏が突然、ジャケットを脱ぎ捨てた。フロア一角で報道陣に囲まれる後輩に声をかけずにはいられなかった。

 立浪氏

 さっき(プレーしている)ビデオを見させてもらったけど、(バットの)ヘッドが内に入らんように気つけや。それと捕球の時。懐をつくってしっかりボールを捕りにいかなあかんで。それだけやな。

 ウズウズ感が抑えきれなかったようだ。身ぶり手ぶりで数十秒間のレッスン。同じ大阪出身の後輩に関西弁で熱のこもったアドバイスを送った。ソファに座り背筋をピンと伸ばした吉川は真顔でコクリ、コクリとうなずいた。

 吉川

 今まで言われてたことのないことだった。すごくうれしいし、ありがたいです。

 出会った瞬間からべたぼれだった。175センチと決して大柄ではないが天性の打撃センスと俊足が売りの内野手。中日スカウト陣が早い段階から目をつけていた。何よりも高校野球界の超名門で主将を務めるなど、共通点は盛りだくさん。まるで若い日の自分をみるような逸材に立浪氏は3割、30本、30盗塁の“トリプル3”を達成できると太鼓判を押した。

 立浪氏

 ビデオで見ただけだけどセンスがある。久しぶりにセンスのある選手が入ったんじゃないかな。将来的にはショートでホームランを30本打てる選手になる。センター方向に打てるし、足もあって肩もある。自分よりもうひとまわり器のデカイ選手になると思う。

 吉川

 具体的な数字とかの目標はプロに入ってからだと思っていたので、そう言ってもらえて自信になる。逆におごらずに謙虚な姿勢で頑張っていきたい。

 初対面で早くも実現した伝承の儀式。同じ道を歩んできた男同士だからこそ分かち合える空間が広がった。プロ22年間で2480本のヒットを積み上げた男を初対面で夢中にさせた18歳。大物の予感たっぷりだ。【桝井聡】