竜ドラ1のジンクスを吹き飛ばす-。中日は29日、横浜市のホテルでドラフト1位指名の三菱日立パワーシステムズ横浜・野村亮介投手(21)と仮契約を結んだ。ともに上限額の契約金1億円+出来高5000万円、年俸1500万円。

 先発1本で勝負する。この日、中田スカウト部長からあらためて「先発で」と伝えられた。今月の21UW杯(台湾)で日本の守護神を担い、名を売ったが「抑えより先発を目指します」ときっぱり宣言した。

 中日の新人にとって実は開幕ローテの壁はぶ厚い。03年ドラフト2位中田(現ソフトバンク)が最後で、ドラフト1位では17年前の97年1位川上までさかのぼる。即戦力の期待を受けながら額面通りにスタートを切れないのがプロの厳しさ。それでも「開幕1軍、先発ローテに入らないと何も始まらない。そこからです」とノルマに設定。その先に、球団にとって川上以来の新人王も見えてくる。

 ドラフト後に慣れない国際試合をこなし、しかも抑えを務め、精神的にも強くなった。「いい経験になった。これから、もし(抑えを)やることになっても経験は生かせると思う」と成長を実感している。その経験は先発でも生きる。

 現在はチームの練習以外にも持久走、短距離走と自分で追加してプロ仕様の体作りに励む。187センチの長身から繰り出す150キロ近い速球やフォークが武器だが、「売りにしている」と制球力に絶対的自信を持つ。ジンクスのある開幕ローテ入りも、野村にとっては小さな目標に過ぎない。【柏原誠】

 ◆野村亮介(のむら・りょうすけ)1993年(平5)7月9日、静岡市生まれ。清水飯田小1年から野球を始め、清水飯田中で全国大会出場。静清高(静岡)では3年春の甲子園に出場。145キロを記録して注目された。社会人では1年目から登板。3年目の今年はエース格として都市対抗3回戦進出。家族は両親と兄2人。187センチ、85キロ。右投げ右打ち。