第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた合宿が23日、宮崎でスタート。4番候補筆頭のDeNA筒香嘉智外野手(25)はフリー打撃で6本の柵越え。強烈な逆風を切り裂く引っ張りで、決意を示した。

 ぶれない強さを打球で表現した。筒香が放った放物線は逆風をものともしなかった。フリー打撃48スイングで右翼方向へ6本の柵越え。球場は両翼100メートルと広い。打撃練習が始まった正午時点で、右翼から左翼方向へ風速約11メートルの強風が吹いていた。左の強打者にとって引っ張る打撃には不利な条件も関係ない。最長弾はスタンド中段まで届いた。「良い練習が出来ました」。いつもと変わらない姿を合宿初日から見せた。

 練習方法も普段通りだった。フリー打撃ではバットが遠回りするドアスイングにならないよう、右投げの打撃投手の時は左翼方向へ流し打ちを徹底。逆に最短距離でバットを出しやすい左投げの時、22スイングのみ強く引っ張った。侍ジャパン合流前から続けるルーティンをきっちり実行。「やることは変わらないけど、このユニホームを着ると、いろいろな重みがあると感じます」。日の丸を背負い、ほどよい緊張感の中で等身大の自分も表現した。

 全体練習後には木の花ドームでティー打撃を約1時間行った。前方からなど、さまざまな角度からトスされたボールを打って打撃フォームを丹念に確認した。「全体練習だけだと少ないと思ったので、やりました」。昨年12月から導入した練習方法で、スイングの細部もチェック。精力的に汗を流した。

 世界一奪還へ向けた、打線の中核を担う覚悟は出来ている。「良い準備が出来るように、今は本戦に向けて最高のコンディションで向かうだけです」。順調に本番へ向けたステップを踏めているからこそ、言葉にも自信があふれる。侍ジャパンの4番筆頭候補だが「監督、コーチに言われたところで頑張ります」。胸に秘める思いは、この日見せた力強い放物線のように結果で示す。【木下大輔】

 ◆KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎の柵越え 両翼100メートルと広い上に、ポール際が吹き抜けとなっていて風が通りやすい構造。キャンプの時期は右翼→左翼への北西の風が多く、左打者は特に柵越えが難しい。巨人ではギャレットが左の長距離砲だが、フリー打撃の平均は4本程度。ライトへの引っ張りではなく、風に乗せて逆方向へ運ぶことが多い。阿部も数本のことが多い。