WBC世界フライ級3位亀田興毅(23=亀田)が「日本のパッキャオになる」と宣言した。同級王者内藤大助(35=宮田)との世界戦(29日、さいたまスーパーアリーナ)に向けて18日、都内の所属ジムで練習を公開。14日にTKO勝利で5階級制覇したマニー・パッキャオ(30=フィリピン)にあこがれる興毅は「パッキャオも持ってたベルトやしおれもKOでいかんと」と刺激を受けた。内藤有利という評判を聞いたことも明かし「燃えるな」と静かに闘志を燃やした。

 興毅の視線の先にいるのは内藤だけではなかった。報道陣に囲まれると、待ってましたとばかりに、14日に5階級制覇したパッキャオのTシャツを広げてみせた。「一番好き。(WBC世界フライ級は)パッキャオも持ってたベルト。王者になったら『後輩です』って会いに行くわ」。

 パッキャオ話にはほおを緩めたが、現在そのベルトを持つ内藤には「正直レベルが違う」とばっさり。コットをTKOで下したパッキャオを踏まえ「日本のパッキャオを目指すには(内藤戦は)軽く通過するくらいでないと。KOでいかんと」と穏やかに語った。

 内藤陣営の視察にも動じなかった。会見中、宮田会長が「ダイエット中で食べられないかもしれませんが…」と、17日に誕生日を迎えた興毅に、亀の甲羅をかたどったケーキを手に近づくパフォーマンスを見せた。減量中で甘いもの好きな興毅には耐え難い挑発とも受け取れる。だが興毅は「むっちゃ優しいな。何も入ってないよな?」とおどけて笑わせた。この日は公募で選ばれたファン3人を初招待し、サインと写真撮影に応じた。「ここまで自信があるのは初めてかもしれん」。亀田節も挑発もなく、冷静そのものだった。

 心の中は燃えたぎっている。前評判では「内藤有利」の声もあるが「負けるって言われるのは2回目のランダエタ戦以来やな。燃えるな。まあ、見とけよ」と不敵に笑った。「おれもパッキャオみたいにいかなな。日本一を証明して世界の舞台に行きたい」。興毅にとって、内藤戦は「日本のパッキャオ」になるための通過点に過ぎないようだ。【浜本卓也】