史上最多41個(金12、銀8、銅21)のメダル獲得に沸いたリオ五輪が閉幕した。熱狂に包まれた17日間が終わったが、ボクシング界にとっては、ここからが“夏本番”。五輪期間中に興行を避けた影響もあり、8月31日から約2週間で日本人が絡む世界戦が6試合続く。頭を切り替える意味も込め、見どころをまとめた。

 ◆8月31日(東京・大田区総合体育館)

 <1>WBA世界スーパーフライ級王者河野公平(ワタナベ)が、同級暫定王者コンセプシオン(パナマ)を相手に4度目の防衛戦に臨む。元WBAフライ級暫定王者のコンセプシオンは海外での評価も高く、一発のある強敵。河野としては相手の強打をもらわず、持ち味のタフネス勝負の削り合いに持ち込めるかが勝利の鍵となりそうだ。

 <2>WBA世界ライトフライ級王者田口良一(ワタナベ)は、2階級制覇を狙う宮崎亮(井岡)を迎えてのV4戦。田口は身長で13センチ上回っており、体格差を生かした戦いが出来るかがポイントになる。「このチャンスをずっと待っていた」と鼻息の荒い宮崎と、日本人対決ならではの激しい試合を期待したい。

 ◆9月4日(神奈川・スカイアリーナ座間)

 WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(大橋)が、16連勝と勢いに乗る同1位ペッチバンボーン(タイ)を迎え撃つ。3戦連続1位選手との防衛戦も、「怪物」井上の有利予想は動かない。4階級制覇を目指してスーパーフライ級に上げてくる“ロマゴン”とのビッグマッチをアピールするためにも、V2戦で逃したKO勝利でファンの期待に応えたいところだ。

 ◆9月9日(ロシア・モスクア)

 IBF世界スーパーライト級3位・小原佳太(三迫)が王者トロヤノフスキー(ロシア)に挑む。元日本、東洋太平洋同級王者の小原は世界初挑戦。日本人のロシアでの世界挑戦は12年の石田順裕以来2人目で、スーパーライト級で王座を獲得すれば藤猛、浜田剛史、平仲明信に次いで4人目の快挙となる。「人生で一番大きな勝負。全てを懸けてベルトを取ってくる」と意気込む小原。24戦全勝(21KO)の王者を相手に番狂わせを起こせるか。

 ◆9月16日(エディオンアリーナ大阪)

 <1>長谷川穂積(真正)が、WBC世界スーパーバンタム級王者ルイス(メキシコ)を相手に3階級制覇に挑む。世界戦2連敗中の長谷川は、この試合を「ラストチャレンジ」と明言。35歳9カ月での勝利となれば、日本人最年長世界王座奪取記録も更新する。KO率82%を誇る強打者を、得意の高速ラッシュとカウンターで攻略したいところだ。

 <2>WBC世界バンタム級王者山中慎介(帝拳)は、V11戦で同級1位モレノ(パナマ)を迎え撃つ。米老舗専門誌「リング」のベルトがかけられることも決まるなど、昨年9月に激闘を繰り広げた元WBA王者との注目の再戦。攻撃の山中と防御のモレノ。「多少強引にでもいく」と山中が語るように、前回封じられた得意の左を早いタイミングで当てられるかがポイントとなりそうだ。

 前回のロンドン五輪からの4年で、日本ボクシング界の情勢は大きく変わった。12年8月の時点で世界タイトルを取っており、現在も世界王者なのは山中、八重樫(大橋)、井岡(井岡)の3人のみ。4年後にボクシング人気が沸騰していることを願いつつ、まずはこの6試合から名勝負が生まれることを期待したい。【奥山将志】