江戸っ子が好むとされる「粋」や「しゃれ」。その趣向は相撲にも通じる。夏場、関取は浴衣を新調する。お披露目となる名古屋場所は、さながらファッションショー。そのデザインで今年、対照的な2人がいた。逸ノ城と遠藤。絵柄を比べると「新」と「旧」だ。

 「新」の逸ノ城の絵柄をデザインしたのは、名古屋が本社のファッションブランド「muta」(ムータ)の山北耕三社長。逸ノ城の師匠、湊親方(元前頭湊富士)と旧知の間柄とあって請け負った。mutaの象徴の「8」のマークは偶然にも、相撲界では勝ち越しを意味する縁起の良さ。社長は「日本では『八』に末広がりの意味もある。『8』を横にすれば『無限』にもなる。そして何より相撲にも『ファッション』を取り入れたかったんです」と言う。相撲とはやりのファッションブランド。組み合わせはなかなかない。

 一方で、遠藤が1人、自ら着る浴衣は「旧」の趣。一曜斎国輝(2代目歌川国輝)の相撲絵を大きく描いている。その意図は「ご想像にお任せします」とけむに巻くが、さっそうと歩く様は昔ながらの力士をほうふつとさせる。これもまた、粋だ。【今村健人】