とにかく一本気。それは今でも変わらない。藤島親方(元大関武双山)は審判部に加え、事業部副部長として執行部入りを果たした。将来の幹部候補とも言われるが「どこの部署に行こうが、理事長に命じられた仕事をするだけですから」と、サラリと言う。現役時は1度も立ち合いで変化せず、真っ向勝負で挑み続けたのは有名な話だ。
その礎を築いたのは、茨城県相撲連盟の会長も務めた父正士さんだった。小学3年で相撲を始める際は腕立て伏せを命じられ、毎日続けて覚悟を示した。私生活でも厳しかったが「当たり前のことですよ。ウソをつかないとか、ズルをしないとか。その教えが、相撲にもつながっている」。専大3年時に、父からの条件だったアマチュア横綱になって入門。改名時には「正士」の名をもらった。大関昇進には時間がかかったが「常に『強くなりたい』という気持ちで、やってきました」。つらいと思ったことも、1度もないという。
今は「土俵の正常化」に向けて、土俵下から鋭い視線を送っている。手つき不十分を指摘されて戸惑う力士がいれば「戸惑っている方がおかしい」と切り捨てる。曲がったことが大嫌い。それが「当たり前のこと」だから。【桑原亮】
◆藤島武人(ふじしま・たけひと)元大関武双山。本名・尾曽武人。1972年(昭47)2月14日生まれ、茨城・水戸市出身。専大から幕下格付け出しで93年初に初土俵。同年秋に所要4場所で新入幕。00年夏で大関昇進。04年九州限りで引退後、年寄「藤島」を襲名。10年秋後に武蔵川部屋を継承。通算554勝377敗122休。


