<DREAM.10>◇20日◇さいたまスーパーアリーナ◇ウエルター級GP準決勝◇1万1970人

 桜井“マッハ”速人(33=マッハ道場)が完敗した。リトアニアのマリウス・ザロムスキー(28)と対戦し、3分すぎに左目上など3カ所から流血。試合を止めようとしたリングドクターに懇願して試合を続けたが、左ハイキックを食らって前のめりに倒れると、そのままパンチの連打を浴びて1回4分3秒KO負けを喫した。

 桜井が血に染まった。開始3分すぎ、左目の上と下、右足すねからの出血でドクターチェックを受けた。左目上の傷は深く、「骨が見えている。だめだ」と話すドクターに桜井は迷わず告げた。「1回だけ、行かせてください」。

 決勝に進出しても出場できない-。覚悟を決めて立ち向かったが、直後にザロムスキーの左ハイキックを食らって前のめりに崩れ落ちた。「意識も飛んでいました」。上に乗られ左右のパンチを浴びた。「3カ所も切ったのは初めて。焦っちゃった。最後は捨て身でいきました。前に行かなければ、それだけでした」。会見にサングラス姿で現れると無念さをかみ殺した。

 「野生のカリスマ」と呼ばれて人気の桜井も今年で34歳。今大会は減量に失敗し、3度目の計量でようやくパスした。総合格闘技46戦目。激闘による蓄積疲労と加齢による新陳代謝の衰えもあり、減量が難しくなったのは事実だ。だが桜井は「年齢は関係ない」と首を振った。「筋肉がついたと思うんです。1回蹴って(自分の)皮膚がぱかっとなるぐらいですし。そういうので体重が落ちなかったのは計算外」。

 侍が畑仕事で関節を動かしていたことが鍛錬になっていたと本で知り、「理にかなっている」と1年前から畑づくりに取り組んでいる。草をむしり、木を刈り、自然な筋肉を養った。「目でパンチが追えるようになる」と約20万円の卓球台を自宅に置いて卓球トレも続けた。「勝つためには手段を選ばないんですよ」。

 年齢の壁を乗り越えようとの向上心は今回は裏目に出た。それでも桜井は「神が与えた試練ですかね」と笑顔。笹原イベントプロデューサーも「日本にウエルター級の灯をともすのはマッハしかいない」と期待を込めた。初代王者のベルトこそ逃したが、さらに進化して戻ってくるに違いない。【浜本卓也】