<全日本:東京大会>◇30日◇両国国技館◇1万2800人

 10年8カ月ぶりのプロレス復帰となった船木誠勝(40=ARMS)が、武藤敬司(46)の「デビュー25周年記念興行」の主役を奪った。30日、全日本の両国国技館大会で、新日本時代の同期・武藤と組んで蝶野正洋(46)鈴木みのる(41)組と対戦。滞空時間の長いドロップキックや場外乱闘、パンクラス時代をほうふつさせる絞め技など猛ファイトを繰り広げ、3人のトップレスラーをしのぐ大歓声を浴びた。

 船木の一挙手一投足に1万2800人の大観衆が沸いた。先発の武藤からタッチを受けて2番手で登場。蝶野のけんかキックをかわし、滞空時間の長いドロップキックで観客の度肝を抜いた。場外では「日本で初めて使った」というイスを蝶野に投げ付けるラフファイト。鈴木とは殴る、蹴る、絞める、のパンクラス時代をほうふつさせるスタイルで、武藤ら日本のトップレスラー3人を脇役に追いやってしまった。

 終了間際の20分すぎ、場外の蝶野に向かってトペを敢行。足がロープに引っ掛かって完全なダイブとはならなかったが、そんなミスは関係なし。試合後、鈴木からフォールを奪った武藤とリング上でがっちりと握手を交わすと、場内は大歓声に包まれた。10年8カ月ぶりのプロレスに船木は「今日は武藤さんの足を引っ張ってしまった」と謙虚に振り返った。

 7月上旬から全日本道場にこもって本格的に練習を始めた。窓を閉め切って室温が50度を超える中、失神しそうになるまで基礎トレーニングを続けた。2週間前からは柴田勝頼を相手に、都内の桜庭和志の道場でスパーリング。満を持して立ったリングで、見事なパフォーマンスを披露した。今後については「明日、答えを出します」と話すにとどめたが、全日本への継続参戦が濃厚となった。【塩谷正人】