WBC世界フェザー級王者の長谷川穂積(30=真正)が「最強スタイル」で初防衛戦に臨む。2日、都内で行われた史上初の日本人王者3人同時防衛戦「3大世界戦」(4月8日、東京・両国国技館)の発表会見に出席。同級1位ジョニー・ゴンサレス(29=メキシコ)戦へ「新生」をテーマに掲げた。スピードとパワーを兼ね備えるスタイルで長期王座を目指す。

 新たな時代を築く、覚悟の表れだった。長谷川は会見後、手渡された色紙に、ゴンサレス戦へのテーマをマジックでひと息に「新生」と書き込んだ。10度の防衛に成功したバンタム級からフェザー級へ舞台を移してから、初めての防衛戦。「バンタムでは見られなかった、前回(フェザー級王座獲得)には見られなかったスタイルで戦う」と2文字に込めた思いを述べた。

 華麗なフットワークと攻防一体の高い技術で、バンタム級時代は「絶対王者」として君臨した長谷川。一気に2階級上げた昨年11月のフェザー級では、ブルゴス(メキシコ)との接近戦での打ち合いに徹して、2階級制覇を成し遂げた。あごの骨を折る4回TKOでの屈辱的なバンタム王座陥落、母裕美子さん(享年55)の死去という苦境を乗り越えるため、無意識のうちに自分自身に課した特別なスタイルだった。

 長谷川は「あのとき(ブルゴス戦)とも違う」という。「減量を気にしない動き。前回のトレーニングを継続しながら、新たなスタイルを出したい。全体的にレベルアップして、どんな展開になっても勝てるスタイルを継続したい」と従来のスピードと技術、そしてフェザー級のパワーを追究していく考え。所属する真正ジムの山下会長も「長谷川のボクシングをやれば、相手に合わせることはない」と信頼を寄せる。同会長によると、ゴンサレスの父は、05年9月の長谷川のバンタム級初防衛戦で対戦したマルチネスのセコンドだったという因縁もある。

 長谷川は約2カ月間、本拠地の神戸市にとどまって練習する。「昔から尊敬していた西岡さん、これからを背負う粟生と一緒にやれてうれしい。必ず勝つ自信を身につけたい」。再び、絶対王者へ。長谷川が第1歩を踏み出す。【山下健二郎】