東京・中央区の築地本願寺で、初めての被災地復興プロレスが今月20日に行われる。隣接する築地場外市場が発案したもので、岩手、宮城、福島で支援活動する前参院議員でLLPW社長の神取忍(46)が「喜んで」と引き受けた。当日は境内の駐車場に本物のリングを設置、3000円の入場料で400席を用意して、収益金は全額寄付されるという。

 1日夕、築地本願寺を訪れた神取は「ここでできるなんて本当にうれしいよ」と話した。今月20日、建立から394年の歴史を持つ同寺では史上初めてとなるプロレスを行う。

 神取は「プロレスは見ている人に元気と笑顔をふりまくもの。その収益が被災地の復興に役立つなら、ひと肌でも、ふた肌でも脱ぐ。築地のみなさんから声を掛けていただいて喜んで戦わせてもらいたい」と“男前”に言い放った。

 4月30日、築地場外市場の関係者が中心となり、東日本大震災のチャリティーイベントを実施した時、神取も炊き出しなどに出席し、同寺も協力した。このイベントがきっかけで「築地から被災地の笑顔を増やそう」との「築地スマイル実行委員会」を結成し、同寺で被災地への支援を訴えるイベントを企画する中で、神取のプロレスが浮上した。

 神取も特別な思いがあった。震災後、岩手、宮城、福島、茨城、千葉、新潟に入り個人的に物資を車で運んだ。7月21日には、相馬市(福島)を訪問し、柔道の少年道場で稽古に参加した。

 「道場も流された。道着もない。そんな子どもが今もいる。今回の収益から道着をプレゼントしたいんだよ。柔道界への恩返しだけど、この子らのために戦いたいんだ」と拳を握った。

 築地本願寺の吉川孝介庶務課長は「神取さんの被災地への強い思いを感じた。築地が一体となって支援する思いと同じ。思い切って戦っていただきたい」とプロレスを快諾した。

 当日、タッグ戦で神取と戦う井上貴子(41)もこれまで被災地に同行していた。井上も「被災地の子供は元気に体当たりしてくるんです。そのパワーを試合でぶつけたい。正々堂々と神取さんと戦う」と話す。リングサイドには一律3000円の400席。満員ならば120万円全額が寄付される。

 試合は、インターネット上の動画サイト「ニコニコ動画」でも生放送され、被災地にも、熱く燃える夏の築地本願寺でのプロレスが届けられる。【寺沢卓】