入門から16年を経て実現した初対戦は、遺恨が深まっただけだった。ゴングから8分すぎ、藤田和幸がテークダウンを奪い小川直也の後頭部にパンチを浴びせる。お互いがグローブを外す中、体をひねり逃れようとする小川に、手を緩めない藤田。ヒートアップしたところで、両者に割って入ったレフェリーが試合をストップ。すかさず小川は手を広げてノーダメージをアピールし、ファンからはブーイングが上がる。消化不良の場内は異様な雰囲気となった。

 リング上にアントニオ猪木が現れ、事態の収拾をはかったが両者の怒りは収まらない。藤田が「俺はてめえのモノじゃねぇんだよ。小川と2人でやってろ。くだらねぇ。2度とやるか」と吐き捨てるように言えば、小川は「呼ばれて来たのに勝手に止めやがって。さっぱり分かんねぇ。ゾロゾロとレフェリーも上がって来やがって」とぶちまけた。

 猪木は「2人にけがをさせるわけにはいかない。あいつらがやりたいって言うからやらせたんだ。遅すぎたんだ。人生を無駄にしやがって」と評した。最後に小川はBSフジでリポーターを務めた宮根誠司からの「次はあるのか」という質問に、胸ぐらをつかみながら「客が望むならやってやるよ」と威嚇。いくつもの遺恨を残し12年のIGFが幕を閉じた。【高橋悟史】