川栄李奈(20)が、涙と笑いで最後のライブを終えた。

 アンコールで行われた卒業セレモニー。白のペンライトで会場が埋め尽くされる中、オーディション参加時からの、活動の軌跡をたどる映像が流れると、ピンク色のドレスを着た川栄がステージに登場した。

 「ファンのみなさんに手紙を書いてきました」と涙ながらに手紙を読み上げた。

 川栄 約5年間こんな私を支えてくださったみなさん、ありがとうございました。踊りが苦手で、いつも真ん中に突っ立っていました。そんな私のも温かく声をかけてくれるファンの方がいました。去年の総選挙ではみなさんに心配をおかけしましたが、ファンの方が選抜に入れてくれました。自分の次の夢は何だろうと思って、お芝居をすることだと思いました。私はやりたいことをやろうと思いました。いつかテレビや舞台で活躍する姿を見せることが恩返しだと思います。

 感動に包まれた会場だったが、高橋みなみ(24)が登場。「何しんみりしてるのよ」と切り出し、「何か忘れていない?」とおバカキャラの川栄の代表曲とも言える「ハステとワステ」をメンバー全員で歌って、会場を沸かせた。スタンドでは、ファン有志がボードで「サンキュー」の文字を作った。

 またライブ中盤に、突然の感謝の言葉で高橋を泣かせたのに続き、親友の横山由依にも感謝を語った。

 川栄 私が選抜メンバーに入れてもらうようになって、人見知りで1人でいることが多かったけど、気を使って一緒にご飯に行ったり、遊んだりしてくれた。横山さんって最初は怖いと思っていたけど、いつの間にか大好きな先輩になっていた。次期総監督でプレッシャーがある中、私たちにはそのことを言ってくれない。AKBは卒業しますが、友達なので、私たちのことを頼ってください。

 これには、横山も「本当に今日はキラキラしてる…」と言葉にならなかった。

 最後に、卒業曲「君の第二章」を歌う前には、後輩の高橋朱里(17)と、横山から手紙が贈られた。

 高橋朱 2度目のお手紙を卒業コンサートで書くとは思いませんでした。つらいときこそ笑顔なのは、出会ってからずっとです。川栄さんと出会って4年がたちます。私の側には、ずっと変わらない川栄さんがいつもいてくれました。温かくて、器が大きくて、影の努力家。これからはAKBのステージに一緒にいなくなってしまいますけど、川栄さんが私にしてくれたように後輩の心に寄り添いたいです。この先も後輩であり、何があっても味方だからね。本当にお疲れさまでした。

 横山 去年の暮れに卒業を聞いてから、1回も止めなかったし、夢を応援すると言っていたよね。でも本当はすごく寂しいです。本当は川栄と一緒にいたいです。でもお芝居の本を勉強したり、映画を見て熱く語る姿を見て、背中を押そうと決心しました。チームAで一緒になって、なかなかなじめない川栄を見て、よく声をかけるようになりました。川栄の面倒を見るようになって、横山が成長したと言われたこともあった。今の私がいるのは、間違いなく川栄のおかげです。いつもニコニコ笑ってるけど、自分より人を優先しちゃう川栄。AKBを出てから、そこがすごく心配ですが、誰よりも頑張り屋さんだということを私は知っています。きっと川栄なら乗り越えられると思う。遠慮しないで私たちを頼って。何かあったらいつでも飛んでいきます。どんなに離れていても、全力で川栄を応援してるからね。私と出会ってくれてありがとう。

 感動の涙に包まれる中、最後は「君の第二章」を歌いながら、全メンバーによる花道を通った。「私はAKB48に入って良かった。メンバー、ファンの皆さんがいる限り、私は頑張れると思います。本当にありがとうございました」。最後は笑顔で「バイバーイ」と手を振って、ステージを後にした。