映画評論家の水野晴郎さんの死去に50年近い親交のあった女優の三田佳子(66)は「信じられない思いでいっぱいです」と追悼のコメントを寄せた。

 三田が18歳で東映映画「殺られてたまるか」でデビューした時、若手映画評論家だった水野さんは「大型新人登場!」と映画雑誌で大きく取り上げた。「その後、本当に長いお付き合いとなりました。あの優しい笑顔そのままのお人柄で、いつも温かく応援をしてくださいました」。

 00年に次男(28)の覚せい剤事件で芸能活動を自粛した三田に救いの手を差し伸べたのが水野さんだった。01年10月に監督した映画「シベリア超特急3」で1年ぶりに女優復帰。「ご自分で映画を撮るという長年の夢の実現に何度もお誘いくださいました。なかなかスケジュールが合わず『シベリア超特急3』でやっと実現できました」。03年には水野さんが演出した舞台「シベリア超特急4」で三田と長男の俳優森宮隆との初の親子共演をおぜん立てした。

 「ご一緒する都度、『次回作』の夢を少年のように熱く語っていらっしゃいました」。水野さんは三田の舞台を欠かさず見ており、昨年春には「忠臣蔵」出演中の明治座の楽屋を訪れた。その時、「今度撮る『シベ超8』が本当のシリーズ最後。ラストシーンをしめる山下将軍夫人の役でぜひもう1度」と誘われたという。しかし、その後、水野さんは体調を崩した。「お話も延び延びになって心配をしておりましたが、つい1カ月ほど前『もうじきクランクインするから』と念押しのお手紙をいただき、ほっとしていたところでした」と明かしたが、昨年春の楽屋での対面が最後になった。「大好きな映画でご自分の世界を形に残そうとした…映画にすべてをささげたまれな評論家であったと思っております」としのんだ。