フランス政府から、芸術勲章の最高章コマンドール章を受章した北野武監督(63)が13日、パリから凱旋(がいせん)帰国し成田空港で会見を行った。フランス文化省から、映画監督だけでなく、お笑いタレントのビートたけしとしての活動も含め「人間・北野武」が評価されたことが分かった。北野監督は「映画の認知度が高いことは知っていた。最近ではネットで番組が見られるから、(ビートたけしも)同一人物だと知られるようになった。お笑いが悪影響したのではなく、まだ才能があるんだと見てくれた」と語った。

 会見での第一声は「日本の文化勲章と人間国宝を1日でも早くもらいたい。人間国宝になって無銭飲食で捕まるのが夢なんで」。さらに「バンクーバー」と、マジック書きした自前の金メダルを取り出し「あっ、ドンキホーテって書いてある」と爆笑させた。

 文化省側からは「映画監督としての活動は言うまでもなく、笑わせることもでき、感動させることもでき、怖がらせることもできる。類を見ない自由さで、完ぺきな才能」と絶賛された。欧州では北野監督の映画には熱狂的なファンがいたが、お笑いの活動はほとんど知られていないとみられていた。しかし、フランスでも数年前から「風雲!

 たけし城」(日本でTBS系、86年5月~89年4月に放送)の人気が出て、ネットでほかの番組に出演する様子も広まったという。

 10日にカルティエ現代美術財団で行われた授与式後のパーティーでは、カルティエ関係者がたけしの前で「コマネチ!」とポーズを決め、祝福したという。パリの現代美術館ジョルジュ・ポンピドー芸術文化センターでは、北野作品の上映会が行われ、自叙伝もフランス語に翻訳、出版されている。北野監督自身が「文化の中心であこがれていた」と称したパリ、そしてフランスでの評価は、上がる一方のようだ。