「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を公開直前に見た。

 試写室の入り口で3Dメガネを渡される。シリーズ生みの親、ジョージ・ルーカス氏(71)は99年公開のエピソード1「ファントム・メナス」を最新3Dにリニューアルして12年にあらためて公開した。そんな技術へのこだわりが、今回は最初から実現している。

 そもそも製作順にいうと第4作にあたるこのエピソード1までの16年間、「技術的な限界」を理由にシリーズを中断していたことを思えば、ルーカス氏のイメージする世界にようやく技術が追いついたということかもしれない。

 おなじみのテーマ曲で始まり、「遠い昔。はるかかなたの…」のオープニングロールが流れるようにスクリーン上方に吸い込まれていく。77年公開の第1作と同じ幕開けを3D効果が増幅する。いきなりわしづかみだ。

 83年公開のエピソード6「ジェダイの帰還」の30年後が舞台だ。ダース・ベイダーとの宿命の対決に終止符を打ったルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)だが、行方しれずになっている。弱体化したかに見えた帝国軍は息を吹き返し、1人生き残った「ジェダイの騎士」ルークの行方を捜している。

 共和国軍の運命を握る「ルーク探し」が今回のテーマだ。

 主人公レイ(デイジー・リドリー)は家族の帰りを待ちながら廃品回収で暮らしている。この「家族」とは誰なのか。ルーカス氏が仕掛けた血脈の物語がこの作品でもミソになっている。

 新キャラクターBB-8と帝国軍の裏切り者フィン(ジョン・ボイエガ)が加わり、レイはルーク探しの旅に出る。喜びは口もとに浮かび、怒りは目に宿る。リドリーの表情は豊かだ。アクションのキレもいい、引き締まったふくらはぎ、走る時の手の振り方が気持ちいい。

 球体2つのBBに喜怒哀楽が宿って見えるから不思議だ。子犬のように愛らしい。ルーカス氏は黒沢明監督譲りの「汚し」にこだわり、宇宙船や建造物の経年劣化を丁寧に表現したが、BBにそれが生かされ、球体の汚れが「表情」になっている。

 帝国軍と共和国軍の激闘は続いている。宇宙船の巨大さには旧作で慣れてしまっているところがあるが、今回はより機敏で自在な動きが見どころか。

 緊張の戦闘下でレイ一行もあわやのピンチとなるが、救いの手を差し伸べるのがハン・ソロ(ハリソン・フォード)とチューバッカ。旧作ファンには感動を超えて感涙だ。

 ライトセーバーの殺陣シーンは、旧シリーズが武骨な黒沢作品のそれなら、今回は「眠狂四郎」に代表される60年代の大映京都撮影所時代劇の優雅さに重なる。雪が舞い、薄明かりに表情が浮かび上がる照明。流れるような剣さばきに目を奪われる。

 レイと敵役カイロ・レン(アダム・ドライバー)が切り結び、十字になった剣が双方の瞳に映るシーンはゾクッと来た。

 子どもの頃から「スター・ウォーズ」の大ファンというJ・J・エイブラムス監督(49)には強い思いがあるのだろう。随所にSW愛が込められ、最新技術で自在に動く宇宙船にもどこか往年のSF映画の面影がある。

 単品でも十分に楽しめるが、旧シリーズのエピソード4、5、6を見てからの方がお薦めだ。グッと来るポイントは倍増する。

 スペクタクルの連続の中で、「家族」が浮かび上がり、離反と和解の人間ドラマに収束していく構成は、エイブラムス監督がルーカス魂を踏襲した証だろう。エピローグ的なラストシーン、ひとつの結論であり、謎かけでもある。早くも新3部作にからめ捕られた。

【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の一場面(C)2015 Lucasfilm Ltd.&TM.All Rights Reserved 
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