歌舞伎俳優中村獅童(42)が26日、東京・角川シネマ新宿で行われた主演映画「振り子」(竹永典弘監督)初日舞台あいさつで、男泣きした。共演の小西真奈美(36)が、「本当にたくさんの方に…ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのに」と涙し、「たくさんの人に支えられて、この日を迎えました。初めて見た時の獅童さんの表情とか思い出しちゃって…」と話すと、獅童も「移っちゃった…」と涙を流した。

 「振り子」は、お笑いタレント鉄拳のパラパラ漫画が原作で、昨年2月に撮影したが、獅童が出演オファーを受けたのは一昨年12月に母小川陽子さん(享年73)を亡くした時期だった。「いろいろあった時期で、思い入れが深い作品になった。お話をいただく直前に母が亡くなって…勝手に運命を感じたり」。

 この日、壇上に立ってからも、母を亡くした当時の思い出を振り返っていただけに、小西の涙が胸にしみた。

 「それくらい、僕らの思いが詰まった作品です。愛情たっぷりの作品が無事、初日を迎え、お客さんの顔を見て、私たちの手を離れ旅立っていくんだな…と胸いっぱいの思い。宣伝費がないんです。何とか皆さんに、この映画を育てていただけたらうれしいです」

 両ほおを伝う涙は、鼻をかむまで止まらなかった。