「山本五十六」「雲の墓標」など戦争を題材にした小説や、軽妙なエッセーで知られる作家で文化勲章受章者の阿川弘之(あがわ・ひろゆき)さんが死去したことが5日、分かった。94歳。広島市出身。葬儀・告別式の日取りは未定。

 東大卒。海軍入隊後、中国へ渡って諜報(ちょうほう)活動に従事。復員した後、志賀直哉に師事し、文芸誌などに小説を発表した。

 特攻隊員の心境をつづった「雲の墓標」のほか、「山本五十六」「井上成美」「志賀直哉」などがある。「お早く御乗車ねがいます」「大人の見識」などのエッセーも得意とした。

 日本芸術院会員。1999年に文化勲章。

 法学者で慶応大教授の阿川尚之さんは長男。エッセイスト阿川佐和子さんは長女。