女優高畑充希(23)が、来年度前期NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(4月4日スタート、月~土曜午前8時)のヒロインに決定し、8月31日、東京・渋谷区の同局で意気込みを語った。激動の戦後、亡き父に代わり、妹と母を支えて生き抜いたおやじのようなヒロイン像に「ビビッと」きて、オーディションに参加。応募者2564人の争いを見事に勝ち抜いた。

 高畑は、会見の冒頭から「おやじ」と繰り返した。「私は普段からおやじくさいと言われることが多くて、おやじヒロインと聞いた時はビビッときました。親にも『役作りはいらないね』と言われました」。

 どこがおやじくさいのか、自分では分からないとしたが、「好きな食べ物を聞かれた時に、『刺し身と日本酒』と答えたら言われました」。約10カ月の収録に向けて「長いので、健康診断を受けようと思っています」と言い笑った。

 杏(29)がヒロインを演じた2013年度下半期の「ごちそうさん」にも出演した。高畑にとっての朝ドラは「おじいちゃん、おばあちゃん孝行」で、「地方ロケに行くと、役名で呼ばれるんですよ。朝ドラならではで、やっと、ちゃんと自慢できる仕事ができたんだなということでした」と当時を振り返った。

 その上でのヒロインオーディション挑戦については、「1度朝ドラに出ているので、すごく自信があったかというと、なかったです。でも、やっぱり、『おやじヒロイン』っていうのは、とても私らしいと思いましたし、年齢もあるし、人生で1度だけ挑んでみたいものでした」。数々の有名女優も含めた争いを勝ち抜き、先週、ヒロイン決定の報告をマネジャーから聞いた瞬間は、「ポカンという感じでした」という。「今もフワフワしている感じもありますが、戦が始まる前の兵士みたいな気持ちもあります」。

 番組の落合将制作統括(47)は高畑の起用理由を「輝きのある人。オーディションでアドリブの芝居に動じないし、他の参加者の面倒も見ていた。小柄な後ろ姿に、家族を背負って生きていく主人公の背中を見た気がしました」などと説明した。デビュー10年。実力が評価された高畑は「みんなが朝、ちょっとうきうきするドラマにしたいです」と言った。その目は、意欲と責任感に満ちていた。

 ◆「とと姉ちゃん」 昭和初期、11歳で父親を亡くし、父(とと)の代わりに家族を守る「中身はオヤジ」の小橋常子が主人公。母親と2人の妹を守り、戦後の焼け野原から立ち上がり、出版社を設立するなど、激動の昭和を駆け抜ける女性を描く。戦後、100万部近い販売部数で一世を風靡(ふうび)した生活総合誌「暮しの手帖」の大橋鎮子さん・花森安治さんら創業者たちの軌跡がモチーフ。脚本は映画「怪物くん」「妖怪人間ベム」を手掛けた西田征史氏。